A.もちろんチェックが必要です。確定申告時にぜひ確認していただきたい事項を一部ですが以下に挙げましたので、参照ください。
1.青色申告は65万控除になっているか?
① 白色申告のかたはまずは青色申告にしましょう。
② 青色申告の特別控除は2種類あります。
10万円控除ではなく、65万円控除を選択しましょう。
2.交際費及び福利厚生費は前年と比較して増減していないか?
① 前年対比はしましたか?必ずしましょう
☆20%以上の増減は無いですか?20%以上の増減は理由を確かめましょう。
☆売上がほとんど変わらないのに交際費が増えた場合はなにか理由が
あるはずです。理由は?
☆前年より減った場合にも何か理由はありませんか?(前年が正しいか
それとも前年が多いのか)理由は?
②相手先は必ず帳簿または領収書に記載しておきましょう。
③福利厚生費にもコメントを記載します。(差し入れ・相手先などを記載)
④会社名や医院名で領収書をもらいましょう。(上様・空白は望ましくありません)
⑤交際費と福利厚生費に限度は無く、売上に応じて決まっているわけでもありません。(それゆえ、税務調査で問題になることが多々ございます)ただし、売上に応じて、だいたい下記のような結果になるように思えます。当事務所のR3年の月平均を下記に記載します。ご参考ください。(金額は多少修正しております)
【歯科医院の売上金額と交際費・福利厚生費の金額の目安
売上階級 |
交際費 |
福利厚生費 |
自由診療比率 |
新規開業 |
10万円 |
1万円 |
17% |
診療報酬が200万円代 |
7万円 |
0.4万円 |
15% |
診療報酬が300万円代 |
10万円 |
2万円 |
19% |
診療報酬が400万円代 |
12万円 |
3万円 |
18% |
診療報酬が500万円代 |
12万円 |
3万円 |
19% |
診療報酬が600万円代 |
18万円 |
4万円 |
18% |
診療報酬が700万円代 |
19万円 |
8万円 |
20% |
診療報酬が800万円代 |
20万円 |
5万円 |
15% |
診療報酬が900万円代 |
22万円 |
5万円 |
15% |
診療報酬が1000万円代 |
22万円 |
5万円 |
18% |
3.租税特別措置法26条を使っていますか?また、使う必要がありますか?
租税特別措置法26条とは医師・歯科医師に対する特例の課税法で、年間の社会保険診療収入が5000万円以下の場合、社会保険診療収入に対応する部分の経費を実額経費と概算経費を比較して多い方の経費を選択できるというものです。
社会保険報酬が5000万円以下の場合は念のため計算して比較することが重要です。
以下は措置法26条を使う場合に留意する点です。
①専従者給与について
専従者給与自体に税金はかかります。措置法26条を使う場合で、専従者給与の支払がある場合は、支払うことに意味があるかどうかご確認ください。
自由診療の比率にもよりますが給与には税金がかかります。支払うことによって節税になっているかどうか確認しましょう。
(例)専従者給与が500万~600万・院長の税率が50%の場合、おおよそ自由診療比率が33%以上の場合は専従者給与を支払ってもOKです。(歯科の調整率は75%です)
(院長の節税) 500万×自由診療比率×調整率×50%(税率)
(専従者の増税) (500万△給与所得控除)×15%(税率)
たとえば、措置法26条の特色上、保険診療が3000万円、自由診療が0の場合、専従者給与を払っても払わなくても利益は同一です。
②保険診療と自由診療にかかる経費の区分けについて
措置法26条を使う場合は自由診療に対応する経費とそれ以外の区分けをしましょう。計算結果にかなりの相違が出るためかなり重要です。
下記の項目は区分けができる代表的な例です。
(1)技工代
(2)歯科材料代
(3)消費税や事業税などの租税公課
(4)インプランターなどの減価償却費
(5)矯正歯科医に支払う給与
4.30万円未満の資産は全額経費になっていますか?
青色申告の場合は30万円未満の資産は全額、減価償却費に計上できます。
5.レセプト等を購入した場合は中小企業投資促進税制の適用ができます。
購入額の10%の税額控除の適用が可能です。
要件は70万以上となっております。
6.貸倒引当金を計上していますか?(売掛金の5.5%)
医療法人はたったの6/1000です。
7.減価償却資産のうち既に廃棄したものはありませんか?
壊れた時に費用化しないと永久に費用化できなくなることもあります。
償却資産税にも影響します。
8. 医療法人のかたで賃貸住宅におすまいのかたは社宅扱いにしていますか?。
ほとんどのケースで支払家賃の1/4から1/5の負担にて処理できます。
9. 業務外費用のチェック経費になる家事関連費は必要経費に入っているか?
①減価償却資産の事業割合を見ましょう。
②100%以外のものがある場合にはそれに対応する維持費もある程度は業務外費用を計上しましょう。
(車が80%の場合は、車検代、自動車税、ガソリン代なども80%にするのが無難です)
③青色申告の場合は適切に分けることができれば業務費用と業務外費用を分けることができます。ちなみに白色申告はおおむね過半数の業務割合が無いと経費可できません。
④業務になりそうな費用は少しでも経費可することを考えます。
10.締め後の給与も計上できます。
①締め日が20日の場合は12月の21日から31日までの給与を経費にできます。
②専従者は日割という考えが無いのでできません。
11.小規模企業共済または倒産防止共済に加入(医療法人は不可能です)
1年分前納できます。
12.決算期の変更(医療法人のみ)
自由診療が他の年に比べて異常に高い場合は決算期を変更します。
(変更した年は事業年度が短縮されます。)
13.決算賞与の支給(医療法人のみ)
決算月に賞与を支給します。
14.生命保険の加入・月払いから年払いに変更(医療法人のみ)
月払いから年払いに変更すると、変更した年は1年分以上の保険料が
経費になります。
15.診療所家賃を月払いから年払いに変更
月払いから年払いに変更すると変更した年は1年分以上の家賃が
経費になります。
16.損益計算書のここを見ましょう
科目 |
内容 |
対策及び留意点 |
売上 |
自費診療報酬 |
・セットする前にもらった料金は前受け金 |
技工代・歯科材料 |
翌年1月分の請求書 |
翌年1月分の請求のうち12月31日までに納品をうけたものは経費にできます |
給与手当 |
従業員 |
特に親族の給与は振込みにしたほうが無難です |
専従者給与 |
|
・支払うことが条件なので振り込みがBESTです(毎月支払うことで金額の妥当性も主張できます) |
福利厚生費 |
差し入れ・忘年会・新年会 |
領収書の余白にコメントを記載 |
通信費 |
携帯電話代 |
経費に入れましょう(何割かは業務外費用として処理) |
広告費 |
|
ホームページ費用は一度に経費にできます |
交際費 |
飲食代・お歳暮・ゴルフ |
領収書の余白にコメントを記載 |
水道光熱費 |
12月分の請求書 |
翌年1月に支払うものも経費にいれましょう |
消耗品 |
診療所内備品 |
大量に一度に買わない限りは買った日の経費に入ります。利益が出そうなときは少し大目に買っておきましょう |
リース料 |
リース契約を締結したときは注意が必要です |
中小企業投資促進税制 |
燃料費 |
ガソリン代 |
業務外費用を設定 |
修繕費 |
車検代 |
業務外費用を設定 |
支払保険料 |
火災保険料・賠償責任保険・自動車保険 |
|