A .原因としては下記のようなケースが考えられます。
A.売上の増減を件数、診療日数、診療点数、来院回数の4つの要因に分けて分析し増減の理由を解明する必要があります。
売上が増加している場合はそれほど問題はありませんが、減少している場合は原因を追究して改善する必要があります。そのため単純に売上の金額を分析するのでなく、減少した金額の原因を追究します。その分析に使用するのが、診療日数、診療点数、来院回数、レセプト枚数です。たとえば前月と比較して売上が100万円減少したとします。その原因を「なんとなく」でなく金額と数字によって明確にしていくのです。同じ100万円の減少であってもその原因は医院によってさまざまです。下記のケースはいかがでしょうか?
●ケース1 診療日数の減少が大きい場合
特に問題はないのではないでしょうか?夏休み、年末年始、祭日などが原因でしょうか?それ以外の理由でしたら改善策が必要です。
●ケース2 来院回数の減少が大きい場合
アポイントのとり方に問題はないでしょうか?また、中断者、アポイントの変更をされた患者の扱い方に問題はないでしょうか。キャンセル率を確認します。キャンセル率が10%を大幅に超える場合は、電話やメールなどの対策を考えましょう。
また、キャンセル数は、連絡ありと無断キャンセルと分けて分析ください。特に無断キャンセルの数が増加傾向にある場合は改善が必要です。
●ケース3 件数が大幅に減少した場合
慢性的に減少している場合は、根本的な問題です。もう一度、診療所をチェックし、改善事項を早急に改善しましょう。治療予約、リコール予約の人数、新患者、再初診人数をまず確認するべきでしょう。
●ケース4 1回あたりの点数が大幅に減少した場合
点数のもれや、勤務医のかたの治療の方法に問題はないでしょうか?
また治療内容を考えてアポイントをとっているでしょうか?
A.リコールとは定期健診のことです。治療終了後一定期間後に再度診察を受けて頂き、口腔内の健康を維持する為のシステムです。今後、人口は減少し、むし歯は減少と言われていますが歯周病患者はかなり多い事実もあります。そのためリコールは歯科医院経営には必要不可欠です。
また、衛生士の数を確保し、メンテナンスに力を入れるのであればリコールの頻度を治療の終了後1ヶ月から3ヶ月に設定してもいいでしょう。それ以外のケースですと通常治療の終了後3ヶ月から6ヶ月でOKです。
A.ズバリ、最低30%以上でしょう。できれば40%は欲しいところです。
おおよそ患者の7割は痛みや違和感、激痛があるときのみ歯科医院に来院する傾向にあるようです。残りの3割の患者は定期的に検査に来院します。この3割のうち2割はリコール等の歯科医院の呼びかけでなく自発的に来院するようです。そのため最低でも2割・そして+10%以上をリコール等により来院を促すことが重要になります。
リコールを行う場合のポイントですが、3つあります。(次頁参照)
☆リコールを行う場合のポイント
第一に言い回しに気をつけるということです。ずばり、大げさな言葉は問題がありますが、「危険回避」につながる言い回しが一番です。人間の心理は、気持ちが良いことより「危険回避」が一番脳裏に残るからです。したがって、「歯周病は病気です」・「子供の虫歯は永久歯に影響しますなど」の言い回しはどうでしょうか。
次に、回数を増やすことです。一度見ただけでは、脳裏に残りません。短期間のうちに数回出すと、不思議と脳裏に残るものです。そのため、1ヶ月後に来院されない場合は、追加的に出すといいでしょう。
または、治療終了後に次のアポイントを取ってしまうことも良いかもしれません。勿論、数か月先になりますので、リコールのお知らせの手紙と来院日を記載します。電話やメールも合わせて行っても良いかもしれません。これを数年続けるとメンテナンスの予約の枠が一杯になってきます。
来院までのアクションをできる限り増やすことです。下記ですと3回になります。
①終了後のアポイント ②リコールの手紙 ③メール等による連絡。
最後に信頼性を強調する。これはリコールのみならず広告宣伝にも共通しますが、信頼性は重要です。たとえば、院長・スタッフが一筆記載するのも良いかもしれません。これだけでも信頼性はもとより、一通の手紙に温かみも生じます。
地域密着(学校医のアピール)・営業暦(開業してから20年、親子2代で40年)・大学院の非常勤医を主張したり、限定的でもかまわないので医院の良いところを主張すると良いでしょう。
A.ズバリ、目指せ利益率40%でしょう。
内訳ですが、歯科材料・技工で20%、人件費で20%、家賃で10%、その他の費用で15%と算定し利益は35%となります。従って目標は40%を目安にします。
その他の費用には福利厚生、交通費、水道光熱費、リース料、衛生費等が入ります。したがって院長先生の取り分はこの利益の35%から返済を差し引いた金額になります。月の売上が400万で140万、500万で175万といった金額から返済を引いた金額になります。
A.これはかなり難しいです。まず、その地域で認められることが前提ですが、ブランドイメージは歯科業界に限らず、重要なファクターです。言い方をかえると、ブランドイメージを定着させることにより「予想以上の影響を患者やライバルである他の歯科医院に与えること」と言えます。
イメージを浸透させる方法は、患者を多く集めることと診療を特化(自由診療)することの2つがあります。
どちらも難しいですが、イメージ戦略に成功すると競合医院と比較してかなり有利になると思われます。
具体的には患者の数で言えば近隣の歯科医院の1.7倍から2倍の患者を確保できれば、評判の良い歯科医院といったブランドイメージは確立できるのではないでしょうか?(実際には2倍程度であっても、患者側からは近隣の歯科医院と比較して3倍から4倍もの患者さんがいらっしゃる評判のよい歯科医院に映っているはずです)
また、自由診療の症例でいえば、3倍から4倍行なうと、○○に定評のある歯科医院などブランドイメージは定着するのではないでしょうか(上記と同様に患者側からは、近隣の歯科医院と比較して6倍から8倍もの患者さんが○○の治療でいらっしゃる評判のよい歯科医院に映っているはずです)。
他には待ち合わせ場所になるような看板を置いたり、歯の置物を置いたり、大きな植栽を置いたりするのも良いかもしれません。
A. ズバリ、月々の返済を月の売上の10%以内にします。
返済期間はできるだけ長くとることを心がけます。できれば10年以上がよいと思われますが、現実には担保や保証人の問題で、運転資金は5年、設備資金は7年程度が多いと思われます。したがって、諸事情により設備資金の返済期間が7年より短い場合はリースを組むほうが良いこともあります。また、一般的には融資よりリースのほうが審査は甘いことが多いです。
利益率のところでも説明しましたが、利益率は40%が理想となります。したがって400万の売上で返済が100万(売上の25%)の場合は
40%(利益)-25%(返済)=15%(残額)
上記より売上のおよそ15%ほどが現金として残ることになります。この15%ではかなり資金繰りを圧迫する形になります。
そのため開業時は特に、売上の10%程度になるような資金の調達や返済計画を立てる必要があります。
また、銀行サイドでも、おおよそ月々の利益と減価償却費を足して、そこから生活費を差し引いた残金を月々返済の上限としているはずです。たとえば、月々の利益が100万円、生活費80万円、減価償却が20万円としますと月々の返済の上限は
100(利益)+20(減価償却費)-80(生活費)=40万円 となります。
A.診療室はユニットの必要数+1の広さ、待合室はおおよそユニットの数の2倍程度の患者が待機することを想定します。
予備のユニットは患者の増加に備えます。当初は、配管のみでよいと思われます。待合室は歯科医院の顔ですからできる限り広く、清潔なことが望まれます。
すべての業種にいえますが、家賃を支払いながら営業をすることは難しいといえます。
歯科医院の家賃は月の売上の10%以下が望ましいと思われます。
A.ユニット一台当たりの患者数は、医院の収入によって上下します。下は 医院の月間収入別に当事務所が集計したユニット一台当たりの一日の患者数です。稼働率を毎月算定し、アポイントのとり方に問題がないかチェックする必要があります。
新規開業 ⇒ 4.88人 200万円 ⇒ 6.58人 300万円 ⇒ 7.64人
400万円 ⇒ 9.58人 500万円 ⇒ 9.12人 600万円 ⇒ 11.05人
700万円 ⇒ 9.45人 900万円 ⇒ 10.95人
A.上のQ&Aと連動するのですが、一日で平均するとユニット1台あたり1時間に一人程度になります。実際は治療ごとに15分または30分、45分単位で取るようにします。
混雑する時間帯は30分弱に一人程度になってしまいますので、衛生士の数を確保する事が必要になるでしょう。
仮に月来院回数の平均が下がっていたり、極端に他の医院と比較し低い場合はアポイントのとり方が悪い場合があります。
また中断率は10%以下を心がけます。あまりにもキャンセルが多い場合は、電話にてお知らせすることも視野にいれます。
必ず、治療予約数、リコール予約数、治療来院患者数、リコール来院患者数、電話キャンセルあり、無断キャンセルの人数の集計が必要です。
A.これは主に若年層の衛生士や歯科助手の方をお雇いになった場合に起きる問題です。要因としては、学校を卒業したばかりで社会一般常識に乏しい上に、医院側としてもキチンとした社員教育を受けさせる事ができない、等にあります。
一流ホテルのスタッフが礼儀正しいのは当然と思われますが、マクドナルドのスタッフもそれほど悪くはないと思われます。おそらくアルバイトの主流は社会人経験のない10代の方と思われますが、未経験者さえもすぐに戦力にできるマクドナルドのスタッフ教育には頭が下がる思いです。新人スタッフを教育しつつ一定水準のサービスを提供し続けるためには、マニュアルの存在が大きいようです。
マクドナルドを例に出しましたが、歯科医院についても、マニュアルを作成し、社員教育を徹底させる必要があります。この際、おおまかではなく詳細に記載することが望まれます。院長先生とスタッフとの価値観は想像以上に違うものです。
「詳細に記載する」とは具体的には次頁のような内容になります(次頁は、歯科医院のマニュアルの一例です。
歯科医院のマニュアルの一例
医院それぞれの「服務マニュアル」を作成される事をお薦めします。細かいことを決め遵守していくことが世代のギャップを埋める手段のひとつになるからです。
A.最低限のことを記載すればよいのではないでしょうか?おおよそ下記のようになると思われます。
労働条件通知書
A.通常、売上に対して20%以内(専従者給与を除く)を目標にすれば問題ないでしょう。保険診療中心の診療所では、患者1日15人程度でスタッフ2名、30人程度でスタッフ3名くらいになります。
予防歯科に力を入れ衛生士が充実している歯科医院は、25%くらいの人件費率となります。その分、歯科材料費や歯科技工代金が他の歯科医院より低くなっていると思われます。
また、歯科医師の給与体系が歩合の場合ですが、保険診療に対して20%から25%、自費診療に対して25%から30%を目安に給与を支払うと良いと思われます。
特に留意すべきパターンが2つあります。1つは売上が上昇している医院です。売上の上昇時はかなり忙しいこともあり、人件費を増加する傾向になりますが、売上の増加以上に人件費が増加している場合があります。
粗利益の増加と人件費の増加をまず比べてください。次に人件費の比率の増加を確認ください。目標は人件費の増加後についても売上と人件費の比率は売上の増加時も20%以内とします。
2つ目は、売上の増加を見込んで人件費を増員するケースも留意が必要です。数ヶ月、1年経過しても売上が予定通りに増えない場合は、人員の対処が必要になります。
A.医院の総売上に占める自由診療の割合が30%を超えたら、クレジットカードの導入を考えたほうが良いと思われます。
保険診療ですと自己負担の割合は3割程度ですからそれほど負担感を感じません。しかし、自費になりますと負担感を感じます。また、現在では銀行での引き出し制限や振込み制限等があります。
A.スタッフの教育、内装の改修、クレジットカードの導入、ホームページの作成が考えられます。
同じ歯科医院であっても保険診療中心の医院と自費収入主体の医院では患者の数、患者の層が相違します。保険診療を中心に行う過程で自由診療が一時的に増えることはありますが、継続性は無いと思われます。そのため自費診療の割合が総売上の3割を超え、今後、自由診療の割合を50%前後に増やす方針の医院は、スタッフの教育等をしっかり行う必要があります。
A.下記が増患対策の一部です。
A.診療内でチェックするべき事項は数多くありますが、具体的には下記のような事項があります。
歯科医院のここ数年の収入は2極化になりつつあります。所得が3000万以上の歯科医院が2割、一方、1000万以下が30%と所得差が3倍以上になりつつあります。
厚生労働省が発表する歯科の受療率はおおよそ1%に対し、有訴者率は4%弱あると言われています(有訴者とは、入院者を除く世帯員のうち、病気やけが等で自覚症状のある者をいいます)。従って潜在的な患者はかなり存在するといえます。そこでこれからの歯科医院は下記のことに留意し、増患対策をする必要があります。
1.衛生面の強化を図ります。
2.痛み対策を行います。
3.スタッフの対応の改善
4.待合室の改善
A.まず、それぞれの広告の特徴を知る必要があります。
1.駅看板
2.電話帳広告
3.電柱広告
A.ケースバイケースですが、下記に留意点を記載します。金額については医療機器等の資産と月の売上の2ヶ月分~6ヶ月分程度の合計を目安に考えればよいでしょうか。その際、下記に留意します。
A.医療法人設立の際に決めなければならない事項及び必要書類は以下の通りです。
【医療法人設立の際の決定事項・必要書類】