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●よくある事例とその解決策

Q50. 詐害行為とはなんですか?遺産分割との関係は?

A.詐害行為とは、債権者により債務者がその債権者に損害をかけることを知りながら行った法律行為を取り消すことをいいます。したがって詐害行為に該当する法律行為は無効になります。では、遺産分割においてどのような行為が詐害行為に該当するのでしょうか?

【遺産分割で問題となった詐害行為の例】
【前提】親が財産を残して死亡。相続人はA、Bの2人です。Aは借金だらけです。従ってAの債権者はAが財産を相続すればその財産から債権を回収できます。

(1)遺産分割協議の場合
【具体例】
遺言がなければ相続人全員(この場合はA,B)の話し合いにより自由に決めます。この場合、法定相続分と相違する分割協議をします。たとえば、Bが全部相続します。その後、Aは自己破産をした場合です。
【結論】
・詐害行為に該当します。
・最高裁平成11年1月22日の判決で詐害行為である旨の判決がでました。
(2)相続放棄の場合
【具体例】
Aが相続開始から3月以内に相続を放棄した場合です。
【結論】
・詐害行為に該当しません。
・最高裁昭和46年6月21日に判決で詐害行為でない旨の判決がでました。
(3)遺言の場合
【具体例】
親がすべての財産をBに相続させる旨の遺言を残しました。Aが遺留分を請求するかどうかはAの任意です。ここで、Aの債権者は代位して遺留分を請求できるのでしょうか。難しい言葉でいうと債権者代位権を行使できるのでしょうか?言い換えると、「債権者代位権」の対象になるかどうかです。
【結論】
・詐害行為に該当しません。債権者代位権の対象にもなりません。
・最高裁平成13年11月22日に判決で詐害行為でない旨の判決がでました。

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Q51 不動産取得税の軽減と贈与税の配偶者控除の関連を教えてください

A.不動産取得税の軽減は4つあります。

①4つの不動産取得税の軽減規定
1.新築住宅の特例
2.中古住宅の特例
3.新築住宅用の土地の軽減
4.自己居住の中古住宅用土地の軽減

②要件及び特典
1.新築住宅の特例
ア・床面積の要件  50㎡以上240㎡以下
40㎡以上240㎡以下(貸家の場合)
イ・建物の固定資産税評価額から1,200万控除できます。

2.中古住宅の特例
ア.床面積の要件  50㎡以上240㎡以下
イ.控除額は350万から1200万円(取得した中古住宅の新築時期により変わります)
ウ.購入後においても居宅とすることが要件です。(賃貸等は対象外です)
エ.昭和56年12月31日以前に新築されたもので新耐震基準に適合していることの証明がなされたもの・昭和57年1月1以降に新築されたものなどが要件となります。

3.新築住宅用の土地の軽減

ア・土地の取得から3年以内に住宅の取得をすることが要件です。
イ・分譲住宅の取得
(控除額) 
土地1㎡当たりの評価額×住宅の延床面積の2倍(200㎡が限度)×3%

4.自己居住の中古住宅用土地の軽減
ア・土地の取得から1年以内の中古住宅の取得が要件です。

(控除額) 
土地1㎡当たりの評価額×住宅の延床面積の2倍(200㎡が限度)×3%

②減額の手続き
1.原則は申告が必要ですが、通常、登記するのみで減額となっております。留意点としては、減額されていない場合は必ず申告をしてください。5年間放置しておくと時効となります。
2.土地の取得に対する不動産取得税を課税された場合で、土地を取得してから3年以内に住宅を建築する等の場合には、不動産取得税減額予定の申告書を提出することによって減額相当額が猶予されます。

③詳細事項
1.中古住宅を旧住所で登記する場合は、申告して減額してもらう必要があります。
2.贈与税の配偶者控除を受ける場合は、贈与税はかかりませんが、不動産取得税はかかる場合があります。
3.2世帯住宅にした場合には、家屋から控除される1200万円は両者から控除できます。
4.相続による取得には不動産取得税は非課税です。

2. 贈与税の配偶者の特別控除

① 土地又は家屋の課税価格から2000万円控除できます。(要件は婚姻期間が20年以上です。)

② 添付書類
1.戸籍の謄本
2.戸籍の附票の写し
3.自宅の謄本
4.住民票の写し

③ 3000万円控除との関係
:建物と土地の持ち分を配偶者に贈与すると、夫婦でそれぞれ3000万円の
控除を受けることが可能となります。
たとえば、将来に売却する可能性があり、土地が相続の場合は、売却益が発生することが想定されますので贈与税の配偶者控除を適用することも考えてよいと思われます。

④ 相続との関連
1) 相続開始前3年以内の加算との関係
贈与税の配偶者控除により贈与されたものは相続開始前3年以 内は加算されません。

2) 2次相続での財産の増加
2次相続の際に贈与税の配偶者控除により贈与されたものは相続
財産となりますので、対策が必要です。

⑤ 不動産取得税との関係
(具体例)
1.前提
土地 地積 200㎡
価格 7,200万円
1㎡あたり 36万円(7,200万÷200㎡)
家屋 価格 15,277,300
床面積 178.8㎡
1㎡あたり 15,277,300÷178.38=85,443円
約85,000円
建築年  昭和56年6月
1)土地のみを贈与した場合
2)建物のみを贈与した場合
3)土地及び建物を贈与した場合

2.不動産取得税の計算

①土地のみを贈与した場合
21,100,000÷360,000=58.6  58㎡を贈与
贈与税 0円
不動産取得税 72,000,000×1/2×58/200×3%=313,200円

②建物のみを贈与した場合
家屋をすべて贈与
贈与税 0円
不動産取得税 (15,277,300-3,500,000)×3%=353,300円

③土地及び建物を贈与した場合(土地の取得税を0になるように調整する)

計算式 360,000×2×@+85,000×@=21,100,000
*21,00,000=20,000,000(贈与税の配偶者控除の限度額)+1,100,000(暦年贈与の基礎控除限度額)
@=26 
したがって土地を52㎡、家屋を26㎡
贈与税は0円  不動産取得税は0円
(土地の不動産取得税)
ア・72,000,000×1/2×52/200×3%=280,800
イ・180,000×(26×2)×3%=280,800
ウ・ア―イ=0円

(家屋の不動産取得税)
(85,000×26-3,500,000)×3%=0円

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Q52 公正証書遺言作成の留意点について教えてください

A.以下に特徴・準備するものや手続き、その他税金面などの留意点を記載いたしました。

1)特徴
①法律に詳しい公証人が作成するため不備がありません。
②原本は公証役場に保管されるため紛失、隠匿、破棄のリスクがありません。
③相続後家庭裁判所で検認手続きが必要ありません。
家庭裁判所での検認は原則、相続人全員の立ち合いが必要です。
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所で行う必要です。
④立ち会う証人が2人以上必要となります。
⑤費用がかかります。

2)準備するもの
① 実印
② 印鑑証明
③ 戸籍謄本
④ 不動産の謄本、固定資産の評価証明
⑤ 受遺者の住民票
⑥ その他   
※ 財産によって必要書類が相違しますので、ご相談ください。

3)費用
公証人への手数料

4)遺言執行人
原則、誰でもなれます。一般的には弁護士がなります。
最近では信託会社がなるケースもあります。
信託会社のいいところは、費用の面で銀行の規程があることと、会社のため、被相続人より先に亡くなることが絶対ありえないこと、税務,法務などさまざまな相談を受けることができる点にあります。

5)下記以外のかたが証人になる必要があります   
①未成年者 ②相続人、受遺者及び配偶者ならびに直系
血族③公証人の親族等は証人になれません。

6)その他
① 税金面
相続させる旨を遺言書で記載することにより、相続時の不動産登記の
登録免許税が0.6%となります。  
登録免許税が遺贈は2.5%、相続は0.6%

② 不動産等を登記する際の手続き
(1) 相続人以外に財産を遺贈する場合
(ア) 遺言執行人がいる場合 
遺贈の場合には執行人が単独登記できます。
(必要書類)
☆被相続人の謄本、住民票
☆遺言執行人の印鑑証明及び実印
☆受遺者の住民票
(イ)遺言執行人がいない場合 

(必要書類)
☆被相続人の謄本、住民票
☆相続人の謄本、住民票
☆相続人全員の実印及び印鑑証明書
☆受遺者の住民票

*相続人全員の実印及び印鑑証明書を入手するのは時間がかかり
ます

(2) 相続人に相続させる旨の遺言を残した場合

(必要書類)
☆被相続人の謄本、住民票
☆財産をもらう相続人のみの住民票及び戸籍謄本

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Q53 固定資産税について留意点はありますか?

A.ございます。以下に概要と留意点を記載いたしました。
1.固定資産税の留意点
1)評価は適正でなければなりません。(市区町村が賦課する評価額がすべて適正とは限りません)
2)賦課期日である1月1日の現況により課税されます。
3)一定の用途に使用される土地は非課税です。
4)家屋と償却資産は分離して課税されます。
5)住宅用地は、固定資産税が安くなります。
6)農地については、一定の軽減措置があります。
7)実際の状況によって固定資産税は安くなります。

2.詳細事項(1.留意点の詳細です)
1)評価は適正でなければならない

Ⅰ.固定資産税の賦課方法の原則は、土地の評価は一筆で評価されて
いること
Ⅱ.一筆上に異なる用途の土地はないかを確認する
Ⅲ.公共用の私道はないか
Ⅳ.私道がある場合
Ⅴ.セットバックする土地がある場合
Ⅵ.一筆に店舗と自宅がある場合

2)課期日である1月1日の現況により課税される

1月1日の現況により課税するため、家屋を新築したり、土地の利用状況を変える場合など1月1日を基準にして考える必要があります

Ⅰ.住宅建物の取り壊し、滅失登記は1月1日以降にすること
Ⅱ.住宅の完成が1月に間に合わない場合
下記の場合は住宅用地として課税されますが申請が必要です
①前年度の1月1日において住宅用地だった
②1月1日において、住宅の新築工事に着手している。 (または、住宅の新築について建築主事または指定確認検査機 関に確認申請書を提出しており、かつ、3月末日まで に住宅の新築工事に着手している。)
③住宅の建替えが、同一の敷地において行われている。
④住宅の建替えが、前年度に係る1月月1日における建替え前の住宅の所有者と同一の者により行われている。

Ⅲ.12月に取り壊し予定の住宅を購入する場合
この場合は、取り壊しを翌年の1月2日以降にすると住宅用地として取り扱われます。
Ⅳ.店舗の完成時期が12月の下旬の場合
固定資産税だけを考えると翌年の1月2日以降に完成すると1年分建物の固定資産税がかかりません

3)一定の用途に使用される土地は非課税である

原則として公共用の土地は非課税であること

Ⅰ.公共施設に土地を貸している場合
Ⅱ.寺院などの境内地、境内建物、参謀者専用駐車場
Ⅲ.寺院などは謄本の地目の「境内地」に留意する

4)家屋と償却資産は分離して課税される

Ⅰ.家屋と償却資産の区別については市役所の担当者に聞くのが早い
Ⅱ.家屋と償却資産については、償却資産により課税してもらったほうが
有利となることが多いこと
Ⅲ.事業用マンション、店舗の新築時には工事見積書の内訳を市役所で調べる
Ⅳ.賃借人が取りつけた造作が固定資産税と償却資産税の2重に課税されている場合
Ⅴ.事業者はそもそも市役所のミスで償却資産税を納付していないケースもある(事業者には、個人の賃貸業者も含まれます)
5)住宅地は、固定資産税が安くなる際のポイント

Ⅰ.現実に住宅用に利用されていること
Ⅱ.住宅用地になるのは住宅の延床面積の10倍までであること
Ⅲ.住宅1戸につき200㎡までは固定資産税評価額が1/6になる
こと
Ⅳ.住宅1戸につき200㎡を越える部分は固定資産税評価額が1/
3になること
Ⅴ.併用住宅についても住宅の用に利用する部分については、住宅用
地の軽減はあること
ⅵ.店舗から店舗併用住宅に変更した際は特に注意が必要であること
*申告する必要あり

5)-2 住宅用地は、固定資産税が安くなる場合あり

Ⅰ.アパート敷地と住民専用の駐車場敷地については駐車場用地が住宅用地になる。
Ⅱ.敷地が200㎡以上の2世帯住宅の場合は、200㎡を超える部分についても固定資産税評価額が1/6になる。
Ⅲ.増築の登記をしていない場合については、家屋の固定資産税は増えるが、増築前の延べ床面積の10倍以上の土地の場合は、土地の固定資産税が減ります(住宅用地になるのは住宅の延床面積の10倍までであるため)
Ⅳ.一筆に店舗と自宅又はアパートがある場合に、用途ごとに固定資産税が賦課されていない場合(たとえばすべて店舗敷地扱いになっている場合)
Ⅴ.店舗ビルの一室に住むことにした場合
住居として利用することにより、住宅に対応する部分の固定資産税評価額が1/6になること

6)農地については、一定の軽減措置がある
・農地については特に市街化区域農地について留意すること

・農地が登記簿の記載が雑種地のため、固定資産税も雑種地扱いに
なっている場合

7)実際の状況によって固定資産税は安くなる

Ⅰ.登記簿に記載されている地目と相違する場合
Ⅱ.登記簿に記載されている地積と実際の地積に相違がある場合

Ⅲ.測量による地積と登記簿の地積の相違
Ⅳ.道路と土地に格差がかなりあり、道路として利用できない場合
Ⅴ.雑種地課税されている山林

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Q54 相続税の申告をお願いした場合の大まかな手順を教えてください

A.以下が初回にお伺いした時から税務調査が入った場合までの大まかな流れとなります。

1)第1回目の訪問時にすること
①固定資産税の明細書を拝見いたします。
②預金のおおまかな金額を把握させていただきます。(できれば通帳により確認)
③有価証券のおおまかな金額を把握させていただきます。
④確定申告されている場合は、過去3年分の確定申告書を拝見いたします。(財産債務の明細書も拝見いたします)
⑤融資のおおまかな金額を把握させていただきます。
⑥準確定申告時に必要な書類をお伝えいたします。
⑦概算相続税を2回目でお伝えすることをお伝えいたします。
⑧家屋の修繕といった支出や家賃・地代の収入など、相続財産に対して出入りが生じます。複数の相続人がめいめい負担してしまうと、その後の精算業務なども複雑になります。簡易に管理できるように前もってアドバイスしておきます。
⑨相続人全員に権利が発生するので、遺産分割が確定するまで、相続人の代表口座を作成し、一括管理を行います。
家賃や地代については振込み口座の変更通知や銀行の借入の返済についても一括管理するようにお伝えいたします。

2)第2回目の訪問時にすること
①概算相続税を提示いたします。
②概算税理士報酬の提示いたします。
③今後のスケジュールの提示をいたします。
④必要書類の作業分担の提示をいたします。

3)相続人確定の手続き
①戸籍謄本から調査します。稀に配偶者も知らない隠し子がいる場合もありますので、リスク分散ということで司法書士に依頼いたします。
②相続人関係説明図の作成を司法書士に依頼いたします。

4)限定承認・相続放棄
財産に対して債務が同等以上になりそうなケースは稀です。弁護士に必ず依頼します。

5)相続財産の確定作業
相続財産が確定しないことには、相続税を確定できません。最悪のケースでは修正申告や遺産分割のやり直しになるケースもありえます。下記に注意すべき事項を記載します。
①書類からの確認
1.銀行の残高証明を取り寄せます。
2.保険証券の確認をします。
3.過去の所得税の確定申告書を確認します。(配当・不動産・事業所得の確認)
4.遺言の有無を確かめます。
②預金通帳等からの確認
1.配当・支払い利息・賃貸料・地代・保険料・貸付金を確認します。
2.故人の死亡日のより2週間前までの入出金の状況を確認します。
3.銀行、証券会社、郵便局からの残高証明書を確認します。
③質問等
1.趣味と財産形成の関連性のご確認
2.過去5年間の不動産・有価証券の売買の状況と財産形成の関連性のご確認
3.夫婦間・子供・孫の間での大きな資金移動があるかのご確認
4.預金の1年間から5年間の大きな金額の動きのご確認
5.相続人の金融資産のバランスのご確認
6.高額な貴金属のご確認
7.車や高額な美術品のご確認
8.死亡日現在につき未払いとなっている医療費のご確認
9.建物の利用状況のご確認
10.相続不動産の価格相場のご確認
11.物納申請許可の可能性のご確認
12.美術品の鑑定価格の依頼
13.遺言書の開封手続き依頼(弁護士・家庭裁判所)
14.鑑定評価の依頼(広大地)
15.不動産の現地確認

6)財産一覧表の作成
1.財産一覧表の作成
①納税財源の確保のご確認
②財産個別の評価額と相続税額の明示
③不動産の時価
④相続人の今後の生活に何が残れば役立つかおおまかに想定
2.納税財源の選定と不動産の処理の決定
①売却可能性
②物納の可能性
③境界確認や測量(物納・売却)

7)分割がまとまらない場合
1.デメリットの説明
①小規模宅地の評価減の特例
②配偶者の軽減
③農地にかかる納税猶予
④物納・延納
⑤弁護士費用や精神的エネルギー

8)税務調査
1.一般的な時期か(申告翌年の秋が一般的)
税務署か国税局の資料調査課か?
2.事前準備
①預金通帳(同居されているかたのものも含みます)
②過去の贈与関係
③過去の譲渡関係

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Q55 居住用財産の譲渡の留意点にはどういったものがありますか?

A.賃貸転用から2~3年目で賃借人に退去された賃貸オーナーに対しては、新賃借人を探すかそれとも居住用として売却するか見極めが重要となります。

転勤。サラリーマンにはつきものです。いずれもそのマイホームに戻るつもりで、転勤先ではアパートの仮住まいで、マイホームについては賃貸に出しています。
ところで、この賃貸中の元マイホームは税務上「何」に該当するのでしょうか?相続税法上は「貸家」に該当します。当然といえば当然といえます。所得税ではどうでしょうか?
賃貸中の元マイホームを売却した時の取り扱いですが「居住用財産」として特例適用が可能になります。
譲渡所得において「居住用財産」とは①居住の用に供している家屋②居住の用に供さなくなった家屋(居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限る)③これらの家屋の敷地とされる土地になります。
注目すべきは、②です。言い換えると、引越し後3年目の年末までの売却なら、居住用財産です。賃貸中で家賃をもらっていても、です。もしくは空き家でも大丈夫です。
たとえば平成25年中にご自宅を賃貸した場合、平成28年12月31日までの売却が該当します。来年以降は居住用財産に該当しません。12月31日までに契約をすますだけでも大丈夫です。
特例の種類としては3000万円の特別控除、軽減税率、買換え、損益通算、損失の繰り越し控除すべて同様の扱いとなります。

注意しなければいけないのが、引越し後、建物を取り壊し、その後は更地になっている場合です。この場合は対象外です。ただし、取り壊し後1年以内の売却で、取り壊し後賃貸等に使用していなければ適用可能となります。

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Q56 相続時精算課税制度とは何ですか?どのように使うか教えてください

A. 相続時精算課税制度は、言い換えると相続税と贈与税の一体課税。つまり、相続時に贈与した財産と相続により取得した財産の合計に対して相続税を課税する仕組みです。この場合、贈与税は2500万円まではかかりません。

財産の贈与が行われた場合、贈与税の申告が必要になってまいります。贈与税の課税には「暦年課税(毎年110万円までは申告不要)」と「相続時精算課税」の2種類があり、一定の要件に該当する場合は相続時精算課税を選択できます。

要件は、贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の子又は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の孫であることです。(改正により平成27年1月よりお孫さんにも相続時精算課税制度の利用が可能になりました)

【相続時精算課税の使い方の例】
①子供の住宅ローンを肩代わりします。
効果は返済期間中の銀行に支払う利息が免除されます。非課税になる2500万円を繰り上げ返済等することでかなりの利息を支払わずにすみます。
例えば下記の条件で借入をしたとします。
1.借入元金 2,500万の借入
2.固定金利 2.5%
3.返済期間 30年
上記の条件で30年間に支払う利息はおおよそ1,200万弱にもなります。贈与を受けて繰り上げ返済をすることにより、この1,200万がゼロになります。相続時精算課税制度を選択しない場合に2500万の贈与を受けると810万5000円の贈与税がかかります*。
*(2500万円―110万円)×45%―265万円
=10,755,000円―2,650,000円=8,105,000円
②賃貸住宅を贈与します
賃貸住宅の固定資産税評価額は、実際にかかった建築額に比べてかなり低い金額になっています。5000万かけて作った賃貸マンションでも建築後は建築額の6割から半分以下になります。更に貸家に該当するので固定資産税評価額の7割が評価額になるので時価よりかなり低くなります
また、賃貸マンションを子供に移転した後の家賃収入はすべて子供に移転されますので贈与した親の財産が増えないことで間接的な相続対策にもなっています。

ここで現金を2500万贈与されるのと2500万の賃貸住宅(家賃が年間350万)の相続人への移転額の相違を見てみましょう。
この場合に注意するべきことは
1.敷金相当額を子供に渡し、精算することです。
2.借主さまに賃貸借契約書を変更するかまたは、通知し、更新時に賃貸借契約書を変更ください。
【相続人(子)へ移転される財産の額の比較】

 

1.現金を2500万円贈与する場合

2.賃貸住宅を贈与する場合

10年後

2500万+預金利息

3500万の家賃収入(350万×10年)

15年後

2500万+預金利息

5,250万の家賃収入(350万×15年)

20年後

2500万+預金利息

7,000万の家賃収入(350万×20年)

現金贈与は2500万+預金利息です。賃貸住宅は10年たった賃貸住宅(2500万)と家賃10年分(3500万)の6000万です。10年で2倍強の財産の移転となります。
③非公開株式を相続人に移転しましょう
これは相続時精算課税制度の、「贈与時の金額を相続税の計算に用いることができる」というメリットを活かした方法です。
非公開株式を所有している場合、その株価が高いために相続税の納付が困難になるケースが非常に多いです。株価の計算方法は会社の業績によって変動します。不良債権の貸し倒れや退職金の支払い等により株価が下がることもあります。株価の下がったときに一度に相続人に移転すると節税につながることがあります。たとえば、社長の退職に伴い、3億円の退職金を支払ったため株価が5000円から2000円に下がったとします。この下がったときに全株を相続時精算課税制度を使って相続人に移転すると、実際の相続時には2000円の株価を使って相続税を再計算できます。相続時の株価が仮に5000円でしたら5000▲2000の差額が節税につながります。
④個人営業を生前に移転しましょう
上記⑥の非公開株式の移転は会社組織であることです。それでは会社ではなく個人営業の場合はどういった事業承継になるでしょうか。そこで、個人診療の内科医を例に話をしてみます。
70歳の医師である父親が長男である息子に診療所を完全に譲り渡し、父親は完全に診療を辞めるとします。この場合、下記の財産を長男に移転する必要があります。
1.診療所の土地(時価3,000万)
2.診療所の建物(時価1,000万)
3.機械類(200万)
4.備品類(150万)
5.運転資金 (300万)
6.在庫商品(50万)
7.借入金(1,500万)
移転の方法は、父親の相続、譲渡、贈与の3つがあります。贈与ですが、以前までは贈与税が大きな障壁となっていましたが、この相続時精算課税制度を使うと多額な贈与税が必要なくなりました。上記の例で相続時精算課税制度を使う場合とそうでない場合(110万の控除)の比較をしてみます
(相続時精算課税制度を使う場合)
①移転財産(上記1から6の合計から引き継ぐ借入金を控除します)
3,000万+1,000万+200万+150万+300万+50万▲1,500万=3,200万
②税金
(3,200万▲2,500万)×20%=140万

(110万円の控除を使う場合)
(3,200万▲110万)×50%▲415万=1.130万

上記のように以前では1,130万かかった贈与税が140万程度まで下がります。つまり相続時精算課税制度を利用するとかなりの低い税額で移転できます。したがって生前贈与の方法をとると、まず、生前に事業の引継ぎが完了でき、移転後の診療所の利益はすべて相続人に移転されます。相続や譲渡以外の方法として贈与も考えてもよいと思われます。

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Q57 不動産管理会社などの資産所有法人は作ったほうがよいのでしょうか?

A.昨今の税制改正の流れを見ておりますと、個人は増税、法人は減税の傾向にあります。不動産管理会社を設立することで節税が可能なケースも多々出てくると思いますので、一部をご紹介いたします。

1.税制改正のトレンドは?個人に増税?法人に減税?
*1税制の大きな流れ・キーポイントはおおよそ下記のようなものが考えられます。
①消費税を10%にする(H29.4から)
②円安・グローバル社会への対応
③格差社会の拡大を阻止すること
④税制の不公平の解消(特定業種の特典や特定資産の特典など)
⑤国内景気の浮揚策
⑥財政問題
⑦震災復興
⑧年金問題
⑨医療費の増大

2.これからの資産防衛策は?
*1 増税時代のなか節税をしながら財産を残すことが重要です。(所得税・相続税・固定資産税・消費税は今後、増税傾向にあります)
*2 個人の直接所有から法人への間接所有が最も節税し、財産を残せる承継パターンではないでしょうか?(法人税は減税傾向になります)
直接所有とは個人が土地などの不動産を直接所有することを意味します。間接所有とは会社が土地などの不動産を所有し、個人は株式を通して土地などの不動産を間接的に所有することを意味します。また間接所有の税金(相続税)のメリットもあります。
簡単に説明すると値上がり資産に対して減額評価できます。
下記は1例です。ご参照ください。
(例)1000万円の土地を50年所有し、5000万円に上昇した場合、個人所有だと5000万の評価に対し、法人だと5000△(5000△1000万)×45%=3,200万円となり間接所有することにより節税できます。

3.会社を作ったらどれくらい節税できるのでしょうか?
*1 法人税率は住民税もあわせて30%くらいです。(25%+25%×20.7%)
*2 個人の最高税率 (所得税45%・住民税10%・事業税5%)
*3 会社を設立することにより推定被相続人の受け取るべき家賃収益が会社に移転し、
相続税を減らすことが可能です。
*4 会社の収益を役員報酬と会社の利益に分配します。
下記は一例です。
【会社設立前】
A物件にかかる所得 年2000万円
これにかかる概算の所得税・住民税 約1000万(2000万×50%)
【会社設立後】
A物件にかかる所得2000万円を会社に500万、後継者家族A・B・Cに各500万ずつ
分配した場合の概算税額
・会社(500万)  500万×30%=150万
 ABC(各500万) 500万×30%×3人分=450万
 合計   会社分150万+ABC分450万=合計600万
したがって1000万△600万=400万が節税額となります。
4.役員構成・株主構成を決めましょう
*1 株主・役員は相続人にします。
*2 株主を推定被相続人にすると株式が被相続人の財産となってしまいますので、
後継者である相続人を株主にします。
*3 役員を後継者家族にすることにより役員報酬を会社から支払います。
ここでは役員になることが重要です。役員は会社と委任契約となりますので、実働に伴う
対価の報酬以外でも報酬を得ることができるからです。(一方、役員以外の雇用契約の場
合は、実働に伴う報酬しかもらえません)
5.会社を作ることによる節税を理解しましょう
*1 相続人に給与で生前贈与と同じ効果を実現
通常は、贈与税を支払う必要があります。一方、報酬であれば贈与税より低い税金により財産移転ができます。
*2 会社に資産を残し、相続人固有の財産作りに寄与
会社の株主は相続人であるため、会社に財産が増えれば増えるほど相続人固有の財産となります。
*3 会社を作る目安はあるのでしょうか?
会社に移転できる不動産にかかる所得が1000万円以上だと節税効果がでると思われます。また、会社設立の効果は長期であればあるほど有効です。
*4 高い所得税を減らし、法人税を支払い、会社に現金を残し、将来の設備投資や大規模
修繕に備えます。(個人は最大60%の税金を支払った残りの資金で大規模修繕を行う必要があります)

6.会社のタイプ
会社のタイプは不動産所有型にします。
理由は下記の事項があげられます。

*1 管理会社タイプ H18年の判決
管理料20%以下でも管理の実態を伴わないとして全額否認の注目すべき判決・
外部の管理会社とオーナー会社との管理契約のうち重複契約をチェックされました。
管理業務記録簿の作成などの作成が必要かもしれません。
*2 不動産所有型 
会社で土地・建物を所有する法人で、不動産にかかる収入をすべて受けます。また、不動産所有型と比較して管理型タイプだと不動産所得にかかる所得を1000万以上、会社に移転するのはなかなか難しいと言えます。(おおよそ管理料は不動産収入の10%から15%程度だからです)。

7.個人の確定申告ではほとんど経費に落ちません
*1 交際費 50万以上は×
個人の不動産賃貸にかかる確定申告では規模にかかわらず交際費50万以上の場合は税務調査で否認される可能性が高いといえます。
所得税では経費と認められるためには、明らかに業務に関連する必要があることが必要です。プライベートな部分と混在する場合は、業務関連部分と明確に区分し、業務関連部分のみが経費になります。しかし、こういった経費を明確に区分けすることは非常に難しいのが現実です。たとえばですが、同業種同士の飲食代金やゴルフのプレー代金などは、情報交換の意図もあり、個人的な趣味・嗜好もあります。こういった経費の明確な区分けは難しいといえます。税務署側はこういった区分が難解なものは経費にしないというのが実務の流れです。裁判事例でも特にゴルフにかかる経費の否認事例はあとを絶ちません。
また、税務署の視点は、個人にかかる経費は修繕費や固定資産税、火災保険料を除き、そのほかの費用に関してはプライベートな費用が混在しているのではないかという見方です。そのため交際費などの経費は認められにくいのです。
一方、会社は原則、規模にかかわらず、すべての行動、経費は収入を得るために支払うことを前提にしておりますので経費になりやすいのが現実です。言い換えればすべての費用は業務関連費用という考えです。(一方で、会社で個人的な費用を負担したことが税務調査で明らかになった場合は、法人税と所得税の両課税となりえる厳しい処置となります)
*2 軽トラ以外の普通自動車 20%以上は×
一方、法人では通常、普通自動車でも認められます。
*3 不動産賃貸収入が売上5000万以上のかたは、所得税を管轄する特別国税調査官の対象になる可能性があります。(調査は一般のものよりも厳しくなります)

8.建物だけを売却しよう(所有型法人の作り方)
*1 土地を売るとかなりの税金がかかります。(売却益の20%の所得税・住民税がかかります)
*2 建物の値段はどうやって決めるか
通常は、減価償却資産の帳簿価額を売却価額とします。そういたしますと売却に際し、税金がかかりません。
*3 建物のみを会社に移すことで家賃の収入の全額を会社に移転できます。(土地の地代を
支払う必要は生じます)
*4 原則は、建物代金は一括で決済すべきですが、分割払いでも問題はございません。
極端に大きい金額以外は問題ありません。(10億以上の場合は利息をとる必要があるかもしれませんが通常は必要ありません)
またこの会社に対する債権を後継者に贈与することも可能です。
登記は移転する必要があります。(登記費用や不動産取得税はかかります)

9.無償返還の届けを提出します
*1 建物のみを会社に移転する場合、地代を支払う必要があります。通常、借地権も自動的に会社に移転してしまいます。借地権は通常、土地の価格の6割から7割くらいですのでそれに見合う金額を法人は支払う必要があり、現実的ではありません。また、その支払が会社からない場合は、受贈益として会社は多額の法人税の支払を負担する必要があります。
*2 無償返還の届出とは
会社は借地権の無いことを貸主(土地の所有者の個人)と確約し、契約期間終了は、無償にて土地を貸主へ返還することを約束する届出書です。これを提出することにより上記1の借地権に相当する金額を会社は支払う必要がなくなります。
*2 地代はこうやって決めます
地代の年額を、土地の使用貸借でなく賃貸借契約となるよう土地の固定資産税の2倍から3倍くらいにします。
* 3 土地の評価も下がります
土地の賃貸借の場合は、土地の評価は更地から2割控除できます。(一方、低廉すぎる地代や無償の地代の場合は使用貸借となりますのでこの場合は土地の減額処理はございません)

10.遺言もつくりましょう
*1 会社に賃貸している土地については会社の承継者に遺言しましょう。
*2 法定相続分で仮申告・仮納付が必要になってしまいます。
(分割できないと特例を受けられません)
*3 配偶者の相続税の税額軽減が使えます。(分割できないと特例を受けられません)
*4 最大80%評価減の小規模宅地等の評価減の特例が使えません。
(分割できないと特例を受けられません)

11.お金がたまったら土地を購入しましょう
・会社で長期間運用したことにより現金の留保ができた場合は、土地の所有者から土地を会社で購入します。(譲渡益の2割は税金となりますが、土地の所有者は土地から現金に資産がかわり対策をしやすくなります)
・扶養義務者間での生活費や教育費は非課税ですので同居している限りは、子や孫にいくら収入があっても親がこれらの費用を負担することに問題はありません。
・相続期限後3年以内なら税金はほとんどかかりません。支払った相続税を譲渡益から控除できます。土地の代金を銀行融資により調達したほうがよいかもしれません。(チャンスです)

12.会社でどんどん税金を払いましょう。
*1 税金を払わないとお金はたまりません。会社のお金は株式を通じて所有しますので
相続人の財産づくりに寄与します。
*2 税金を支払うと銀行の評価も高まります。金利も下がります。
新規投資の際に融資決定がスムーズです。

13.会社ではこんな経費で節税できます
*1 自宅の社宅化も可能です。(自宅を会社に売却し、家賃を取る形となります)
*2 別荘も保養所として経費におちます。(ただし、使用する場合は利用料を会社にお支払いください)
*3 ゴルフ会員権も会社で購入できます。年会費等も会社の経費となります
*4 自家用車も経費に落ちます。
*5 退職金も経費になります。
*6 生命保険も経費になります。

14.最後に
「大切な財産を守りそれを後世に引き継ぐということ」これは最大のテーマです。会社はゴーイングコンサーン(継続企業)を意味します。つまり人間と相違し死ぬことがないのが前提です。
会社を継続することは資産を守り、後世に引き継ぐことになると思われます。

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Q58 養子縁組を行うことで相続にはどのような影響がありますか?

A.養子になっても実親の相続権は失わない、連れ子には相続権がないなどの点や税務上養子の人数に制限があるといった点に留意事項がございます。

1.養子になると実親の相続権を失われると勘違いされるかたが多く見られますが、養子は実親と養親の相続権を持つことになります。
「私は妻の実家に養子に入りました。私としては私の実家とは縁を切ったつもりです。当然、家を出て養子に入ったのだから私の父親の相続財産を相続する権利はなくなってもかまわないと思っております。」このような相談をよく受けます。
養子に入ると姓がかわることがあります。戸籍が変わることもあるでしょう。
したがって実の親の相続財産を相続できないと思われるかたがいらっしゃいます。
しかし、養子は実親と養親の両方の相続人になります。したがって両方の相続権をもつのです。そのため養子に入っても実親の相続権は失われません。

2.養子縁組をするには、かなりの手続きが必要であると勘違いされるかたが多くみられますが、住所地の市区町村に養子縁組届を1枚出すだけです。
また、養子縁組の解除をしたい場合は、同じく市区町村に養子縁組解除の届出書を提出します。遺言ではできませんのでご注意ください。

3.再婚した場合の連れ子でも相続権をもつのではと勘違いされるかたが多く見られますが、連れ子は相続人にはなれません。
再婚した場合ですが配偶者に婚姻前の子供がいる場合があります。
当然、婚姻後はその子供たちと一緒に暮らすことになるでしょう。しかし、戸籍を見てください。当然、配偶者は妻と記載がありますが、その配偶者の子供は、当の本人の子供として記載されておりません。こういった連れ子は実の子供と同様に婚姻後暮らしたとしても相続する権利は無いことになります。
そのため、相続権を持たせたい場合は養子縁組をする必要があります。

4.実の子供より養子のほうが相続分が少ないのでは?と勘違いされるかたが多く見られますが、法定相続分は実子と同じです

5.更に相続税法の規定の中で下記の事項は養子の数が関係するのですが連れ子の養子は含まれません。含まれないということは制限が無いということであり、税金面だけで考えるとかなりの節税と言うことができます。
養子の人数などに制限がありますので、下記の1)から4)をご参考ください。
実子がいる場合は養子は1人まで、実子がいない場合は2人までとなっております。
1)生命保険の非課税限度額
500万円×法定相続人の数により計算しますが、この法定相続人の数に養子の制限があります。
2)退職金の非課税限度額
500万円×法定相続人の数により計算しますが、この法定相続人の数に 養子の制限があります。
3)相続税の基礎控除
3000万+600万×法定相続人の数により計算しますが、この法定相続 人に養子の制限があります。
4)相続税の総額の計算
相続税は法定相続人が法定相続分に従って相続するものと仮定して計 算しますので、法定相続人が増えれば各相続人の相続財産も減ります。結果的に相続税の超過累進税率の構造上、低い税率が適用され税額が低くなります。そのため、これについても養子の制限があります。

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Q59 相続時に利用価値の低い土地の評価額を減額できる制度があるそうですが、どういった土地に使えるのでしょうか?

A.まず、土地の評価で一番大事なことは、実際に土地を見ることです。当然、被相続人は何度も評価対象となる土地を何度も見たことでしょう。でも、相続人である子供はどうでしょうか?
自宅からかなり離れた場所ですと10年前、20年前に溯らないと見たことがないといったことが数多くあります。下記をご覧ください。

(土地を実際、見に行って下記のことに留意します)
①所在地の確認をしましょう
②土地の地盤は凸凹してないか
③騒音、排気ガス、日照阻害、臭気等がしないか
④墓地に隣接していないか
⑤接する道路の幅員が狭い
⑥道路に接しているか
⑦道路があるか
⑧土地はどのような形をしているか
⑨振動や騒音はするか

1. セットバックが必要な土地は評価が下がります
まず、道路の調査は土地所在地の市区町村の役所にいきましょう。(市区町村によっては建築事務所になることもあります。市区町村の建築指導課や道路調査課(市区町村によって異なります)に行ってセットバックについて調べましょう。セットバックとは建築基準法上、原則として建物は幅4m以上の道路に接する必要があります。しかし、現実にはもっと狭い道路に面した土地はたくさんあります。このような土地は建替えや新築の際は道路の中心線から2mのところは自分の土地であるにもかかわらず道路として提供しなければなりません。この利用が制限される部分をセットバックと言います。
よく勘違いするケースでどんな道路でもセットバックは必要であると思っているかたがいらっしゃいます。道路と思っているものが実は道路でないこともあるのです。道路は道路基準法に規定されています。道路基準法に規定されていない道路は道路でないことになります。単なる通路ということになります。そういった通路はどんなに細い道路でもセットバックは必要ないことになります。

セットバックが必要な土地の評価方法は下記の通りです。
例で説明します。1000㎡の土地のうちセットバックが必要な部分が100㎡、評価減前の価格が20,000万円とすると、評価額は下記のように計算します。
20,000万▲20,000万×100㎡/1000㎡×0.7=18,600
セットバックが必要な部分については、7割の評価減となります。
この場合は、1,400万円も評価が下がる結果になります。

2. 利用価値の著しく低価している土地も評価が下がります
著しく利用価値が低価している土地はその価値が低下している部分については10%の評価減ができます。ただし、路線価や固定資産評価額が既にそういった利用価値が低下している状況を考慮されている場合は、当然この10%の評価減はありません。著しく利用価値が低下している場合とは例えば下記のようなものを言います。
①地盤が甚だしく凸凹している土地
②騒音、排気ガス、振動が甚だしい土地
③日照阻害が甚だしい土地
④墓地に隣接している土地

実際の評価は下記のようになります。

利用価値が著しく低下していると考えられるため10%の減額になります。
例で説明します。50㎡の土地の価格が1億5,000万だとします。利用価値が著しく低下しているものに該当すると
50㎡×3,000,000×(100%▲10%)=135,000,000円
このケースでは1,500万円も評価が下がります。

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