Q21. 相続税納付のため会社から無期限の借入をしてもよいでしょうか?(その1)
A.下記の前提において
(前提)
- 家具製品販売業を営んでいる会社である
- 最近、創業者である社長が最近亡くなった
- 先代の社長の個人資産が多く相続税が約4億円にのぼる
- 納税資金がなく非常に困っている
下記の対策を行います。
(対策)
- 1年以内に土地の売却代金などで返済できる見込みがある場合などを除き、会社から借入をすると、利息の問題や会社の財務状況に影響するのでお勧めできません。
- 自己株式を会社に買い取ってもらい、その売却代金で納付します。税額は譲渡益の20%ですが相続税の取得費加算が適用できますので、税額は下がると思われます。
- 個人が銀行から融資を受け、その返済源資を会社からの給与とします。
(課税関係及び留意点等)
- 仮に相続人に資金を貸した場合は適正な利率を徴収する必要があります。また会社と役員の金銭の貸し借りは利益相反取引になるため取締役議事録の作成が必要になります。
- 利息もなく、返済計画がない場合には、税務上は金銭を提供したとして給与課税される可能性があります。
- 相続税の申告期限から3年以内に自社株を買い取る方法をとれば含み益に対して20%の税額で済みます。また、相続税の取得費加算の適用が可能です。
- 金銭を貸し付けると、会社の財務体質は悪化します。
Q22. 相続税納付のため会社から無期限の借入をしてもよいでしょうか?(その2)
A .下記の前提において
(前提)
- 惣菜加工業を営んでいる会社である
- 最近、創業者である社長が最近亡くなった
- 先代の社長の個人資産が多く相続税が約8億円にのぼる
- 退職金として4億円支払う予定である
- 納税資金がなく非常に困っている
- 先代の財産の中には本社ビルがある
下記の対策を行います。
(対策)
- 自己株式を買取ってもらいます。
- また、会社に賃貸している不動産を会社に買取ってもらいます。
(課税関係及び留意点等)
- 会社から相続税を調達する場合は、総合的に考える必要があり、また、いろいろな方法を組み合わせる必要があります。
- デメリットとメリットをよく考えて総合的に考える必要があります。
- 相続税の申告期限から3年以内に自己株式を自社に売却した場合は含み益の20%の税率で済みます。
- 相続税の申告期限から3年以内に相続した自己株式や不動産を売却した場合は、支払った相続税の一部が取得費に加算され、譲渡税が安く済みます。
Q23. 社長が賃貸している土地の上にある社宅が老朽化しましたが、会社費用で取り壊し、無償返還してもかまわないでしょうか?また、何か問題はありますか?
A .下記の前提において
(前提)
- 電化製品製造業を営む会社である
- 25年前に社長から個人資産である土地を借りて従業員寮を建て使用していた
- 最近、老朽化がすすみ、社員の退寮が多く、現在、3/4くらいが空室である
- 土地の契約期間が3ヶ月後に終了する
- 社宅以外の用途に変えることは、莫大な費用がかかることと、賃貸マンションやオフィスビルの需要がこの地域にはない
下記の対策を行います。
(対策)
- 会社費用で取り壊し、無償で社長に土地を返還します。
(課税関係及び留意点等)
- 立ち退き料を支払うのは、借地権の存続期間があり、かつ借地権者の建物が存在することが条件になります。したがって原則的には本事例についても立退き料が必要となりますが、社宅としての利用状況が1/4で3/4は空室であること、通常の賃貸マンションにすることは無理であることから判断すると、取り壊すことが経済的に合理的であると判断できます。そのため、無償による返還でも課税問題は生じないと考えられます。
- 合理的な理由なく、恣意的な借地権の放棄等による無償での土地の返還をした場合には立ち退き料相当額が役員賞与になります。
Q24. 会社に借地権があるかないかわからない場合はどうすればよいでしょうか?
A 下記の前提において
(前提)
- 創業してから40年目の農業機械販売業である
- 社長から倉庫の使用目的で土地を賃貸している
- 社長と会社との間で土地賃貸契約を結んでいる
- 地代は契約通り、3年おきに変更している
- 借地権は帳簿に計上されていない
- 社長の相続時になにか問題があるような気がしている
下記の対策を行います。
(対策)
- その借地権の慣行があるのかどうかを確認します。
- 「土地の無償返還の届け出」「相当の地代の改訂方法に関する届け出書」の提出してあるかどうかを確認します。
- 過去に認定課税を受けたかどうかを確認します。
- 地代の金額と相当の地代を比較します。
(課税関係及び留意点等)
- 個人間と法人間の契約には使用貸借契約をした場合は、会社側に借地権相当額に対して受贈益が賃貸時に発生しているのが原則です。
- 借地権に関しては、過去の課税関係に関係なく、現在におけるその更地価額と支払地代との状況、取り扱い改正後の借地権認定課税見合わせの取り扱いの利用状況、その借地をめぐる借地の現状により借地権の存在の有無を判断します。
- 会社に借地権が移転している場合は、社長個人の相続時については、更地価額から借地権を控除した金額、つまり貸宅地の金額が評価額になります。
- 借地権により課税問題が生じるのはおおよそ次の時です。
1)借地権設定時
2)借地権売却時
3)借地権の返還時
Q25. 地代は支払わないと問題がありますか?
A .下記の前提において
(前提)
- 建設業兼不動産賃貸業を営む会社である。
- 不動産賃貸業については、すべて社長の個人資産である土地を賃借して建物を会社で建設し、賃貸している。
- 現在、テナントビル、マンション等社長から土地を賃借している物件が合計8棟あるが、本業の建設業において、不良債権を償却せざるを得ない状況になり、社長に支払う地代が経営を圧迫している。約2年分ほどが未払いになっている。
- すべて上記8物件については、すべて「無償返還の届け出」を提出している。
- 下記の対策を行います。
(対策)
- 相場以下となったとしても会社の資金繰りの悪化という理由をもとに今後の地代の額を減額します。
- 社長と会社の間で覚え書きを作成し、地代を減額します。覚書は定期的に書き換える形と望ましいと思います(当面2年間は月家賃を○○円とする)。
(効果)
- 会社の資金繰りを改善します。
(課税関係及び留意点等)
- 過去に未払いになっている地代を免除した場合には、法人においては受贈益が発生します。
- 賃貸借を使用貸借に変更にすることにより地代は0になりますが、経済合理性から適当な処理とはいえません。
- 地代を下げる合理的な理由が必要です。
- 覚書きを作成し、今後は滞納が無いようにします。
Q26.社長から借りている土地を会社の業績が悪い時は地代を減額してもかまわないでしょうか?
A .下記の前提において
(前提)
- リサイクルショップを営む会社である。
- 最近は3年連続赤字続きです。今期の決算についても頭を抱えて悩んでいますが、なんとかなりそうではある。しかし、来期は非常に厳しいことが予想される。
- 事務所・倉庫を社長から賃借しており、家賃は合計で月額90万円である。会社の経営からすると、半分くらいに値下げをしたいと思っている。
- 来期は資金のショートが考えられ、家賃が未払いになるおそれがある。
下記の対策を行います。
(対策)
- 家賃を赤字のときだけ減額することは好ましくありません。
- 更新の時期に値下げするのが一番良い方法だと思います。
- 更新の時期でないときは、会社と社長の間で覚書を交わします。相場家賃と比較し、家賃の引き下げが可能な場合は、更新前でも家賃の引き下げは可能です。相場以下にする場合は、合理的な理由が必要です。
(課税関係及び留意点等)
- 家賃を免除した場合には、法人においては課税問題は生じませんが、社長個人においては、金銭の授受がないにもかかわらず、免除した家賃を不動産所得として申告する必要があります。
- 賃貸借を使用貸借に変更にすることにより家賃は0になりますが、経済合理性から適当な処理とはいえません。
- 個人課税については認定課税がありません。ただし、建物賃貸借契約書に記載されている家賃については、認定家賃ではなく確定家賃といえますので、契約書に記載されている家賃を免除された場合については、法人課税はなくても個人については、確定申告する必要があります。
Q27. 法人が社長から土地を権利金なしで賃借してもかまわないでしょうか?
A .下記の前提において
(前提)
- 和装小物の卸業を営んでいる会社である。
- 首都圏近郊に2つの販売営業所を作ろうかと考えている。
- 営業所だが、1箇所は社長の個人資産である土地を、もう1箇所は当社の子会社が所有している土地を借りて営業所を建設しようと考えている。
- 権利金等を社長、子会社に支払う必要があるのか?
下記の対策を行います。
(対策)
- 社長から借りる土地については、社長と会社の間で土地の賃貸借契約を締結し「無償返還の届け出」を提出します。
- 子会社から借りる土地については、土地を借りるのでなく、営業所も子会社が建設し、当社と子会社の間で、建物賃貸契約を締結し、子会社に家賃を支払います。
(課税関係及び留意点)
- 当社と社長との間で「無償返還の届け出」を提出すると、ひとまず、権利金が必要ありません。更に、地代も相当の地代(更地の相続税評価額の6%)支払う必要もなく、固定資産税の2から3倍ですみます。営業所に相当の地代を支払うと、場所にもよりますが、かなりの金額になることが予想されます。
- 当社と子会社の間で「無償返還の届け出」を提出すると、ひとまず、権利金が必要ありません。ただし、地代も相当の地代(更地の相続税評価額の6%)支払う必要があり、支払わない場合については、子会社側で課税問題が生じ、寄付金扱いになります。さらに、営業所に相当の地代を支払うと場所にもよりますが、かなりの金額になることが予想されます。
- 一般的に考えるとこのような提案になりますが、例えば、親会社に欠損金があることや社長の相続も考えると別の提案になることもありますので、注意が必要です。
Q28. はじめから役員退職金支給規定に著しく高額な退職金を定めておけば認められるものなのでしょうか?
A .下記の前提において
(前提)
- 木材加工及び製造業を営む会社である
- 役員の高齢化が進み、退職金の準備が必要なことを痛烈に感じてきた
- 役員退職金規定は、まだ定めていない
下記の対策を行います。
(対策)
- まず、役員退職金給与規定を作成しなければなりません。
- 他の役員とのバランスと功労加算金の妥当性を考慮する必要があります。
- 役員については、委任契約のため退職時期を決める必要があります。
(課税関係及び留意事項等)
- 過大の部分は経費にならないため法人税が課税されます。
- 相続税、代償分割等個人的事情の加入が入るなど特別な支給目的(同族会社の事業承継問題等)がある場合については、必要な金額を算定する必要があります。
- 過大な部分についても個人は退職金課税となります。
- 弔慰金は相続税が非課税になります。
- 死亡退職金は相続税課税、生前退職金の課税は所得税課税がされます。
- 生前退職金は退職所得控除後の所得に1/2を乗じた金額に税率をかけますのでかなり有利な税額となります。
Q29. 役員報酬の支給がない役員にも退職金を支給して問題はないのでしょうか?
A .下記の前提おいて
(前提)
- コンサルト業務を行う会社である
- 役員は5人いるが、役員の中にけがにより長期入院するため、退職することになった者がいる
- 業績が悪かったため、その退職する役員には報酬を支払っていなかった
- 役員退職金規定によると、退職金の金額は、退職時報酬額×勤続年数×功績倍率となっている
下記の対策を行います。
(対策)
- 役員退職金を支給しない事情に合理性があれば他の役員の支給実績から算出した金額を退職金とします。
- 支給の決議を株主総会議事録にて決定します。
(課税関係及び留意事項)
- 役員報酬を支給しない事情を確認します。
- 役員退職金規定から算定しないため金額の妥当性を説明する必要があります。
- 過去の役員の支給状況を調べます。
- 役員の貢献度を考慮します。
- 過大の部分は経費にならないため法人税が課税されます。
- 過大な部分についても個人は退職金課税となります。
Q30. 役員退職金を一度に支払えそうにありません。何か良い方法はありますか?
A .下記の前提において
(前提)
- ソフト開発業を営む会社である
- 近年、競合会社が増え業績が下がっている
- このたび役員が退職することになり退職金を支給するが、役員退職金規定どおりには支給できそうにない
下記の対策を行います。
(対策)
- 退職金の支給額を確定し、分割し支払います
(課税関係及び留意事項)
- 株主総会を開き、役員退職金の支給について承認決議をします。
- 会社の資金繰り(社内事情)や決算状況を考えます。
- 退職年金と退職金(分割支給も含む)では、支給を受ける側において前者が雑所得、後者が退職所得になります。
- 分割支給する年数は3年から長くても5年にしまsす。
- 決算状況にもよりますが、法人側では、分割支給するにしても総額を一括で経費に入れることも可能です。
- 決算の状況にもよりますが、法人側では、支払い時にその都度経費にいれることも可能です。
- 個人においては、どちらの支給方法でも(上記5、6)退職所得として課税されます。
Q31. 役員と従業員では退職金の取り扱いは相違するのですか?また、あらかじめ知っておくべきことはあるのでしょうか?
A .下記の前提において
(前提)
- 設立した2年目の輸入雑貨を営む会社である
- 当社において、従業員と役員の退職金規定を作成しようと考えている
下記の対策を行います。
(対策)
- 役員と従業員と別々に退職金規定を作成します。従業員の退職金の支給は規定を作成した以上は義務となります。一方、役員の退職金は規定があったとしても株主総会の承認が無い限り、支給は許されません。
- 役員と従業員については、相違する部分が多いためよく考えて作る必要があります。
(課税関係及び留意点等)
- 従業員と会社の関係は雇用契約、役員と会社の関係は委任契約です。
- 役員は、一定の金額が経費になります。つまり過大と考えられる金額は経費になりません。
- 一部の同族の従業員以外は従業員の退職金は、金額の大小に関係なく経費になります。
- 退職金については、必ず支払わなければならないものではありません。しかし、従業員については退職規定があれば原則支給義務が生じます。したがって原則として会社の業績の悪いときでも規定どおり支給する必要があります。
Q32.保険金収入と死亡退職金の計上時期を同じにしたいのですが、何か良い方法はありますか?
A .下記の前提において
(前提)
- 木材卸業を営む3月決算の会社である
- 役員と従業員を被保険者とした生命保険に加入している
- 社長が2月に亡くなり、3月下旬に保険金が入金された
下記の対策を行います。
(対策)
- 3月に臨時株主総会議事録を開き、役員退職金の支給金額を確定させます。実際の支払は4月以降でもかまいません。
- 上記によって、保険金の収入と退職金の支払を一致させ、決算を乗り切ります。
(課税関係及び留意点等)
- 保険金の収入時期ですが、原則、保険会社から保険金の支払い通知を受けた日が収入の計上時期になります。
- 退職金の計上時期は退職金の確定時期になります。おもに下記の3つが考えられます。
1)定時株主総会
2)臨時株主総会
3)取締役会等で内定して金額を退職金として計上し、税務加算し、その後定時株主総会で決議があったときに税務減算します。ただし、保険金入金時には、退職金については、経費に落ちませんので、法人税を支払う必要があります。
- 退職金の支給目的で加入した保険であっても、保険金の入金額と退職金の金額はひも付きの関係でなく、あくまでも切り離して税務処理します。
Q33. 自社株式の評価引き下げは可能でしょうか?また。何か良い方法はありますか?
A .下記の前提において
(前提)
- 相続税法上の大会社。従って類似業種比準価額方式を採用
- 毎年、着実に利益を出している優良会社である
- 現社長がまだ若く、長期的な対策を希望している
下記の対策を行います。
(対策)
- 株式移転により持株会社を設立します。
(効果)
- 類似業種比準価額による含み益から42%を控除した金額による評価が可能になります。
(課税関係及び留意事項)
- 節税のみの設立は、租税回避行為に該当する可能性があります。
- 節税のみの設立は、相続法上は時価で申告することが原則のため、通達による算定方法以外で計算することもあります。
- 法人税・所得税がかからないように適格株式移転等を行なう必要があります。
Q34. 少数株主にはどのような権利があるのでしょうか?
A .下記の前提において
(前提)
- 株式の分散により持ち株比率が下記に株主がいる
①1% ②3% ③5% ④10%
下記の対策を行います。
(対策)
- 株式に譲渡制限を設け、株の譲渡等を防止し、また取締役会にて管理します。
- 定款により相続による株式の分散等に対してでも会社で買い取ることが可能な状態にします。
- 分散先が社員の場合は、社員持ち株会を設立し、持ち株会に各社員は株を譲渡し、持ち株にて株式を管理・保有することも検討します。
(課税関係及び留意点等)
議決権には下記のようなものがあります。
- 2/3以上(特別決議)が必要なもの
①役員の解任 ②有利発行 ③譲渡制限のある会社での第3者割当 ④定款の変更 ⑤減資 ⑥営業譲渡 ⑦合併 ⑧株式交換 ⑨株式移転 ⑩会社解散など
- 特殊決議(半数かつ2/3以上)が必要なもの
譲渡制限を付与
- 普通決議(1/2以上)が必要なもの
役員の選任など
- 10%必要なもの
解散請求権など
- 3%以上必要なもの
①取締役の解任請求権 ②会社整理の申立 ③総会招集権 ④帳簿閲覧権
- 1%以上必要なもの
①株主提案権
Q35.社長からの借入が多く返済のめどがたっていないのですが、どうすれば良いでしょうか?
A .下記の前提において
(前提)
- 社長からの借入金が8000万ある
- 月々滞りなく返済をしているが社長が高齢になり全額を返済しきれそうもない
- 今の財務状況では、相続時において一括で全額を返済できそうもない
- 相続時に多額の相続税を支払う予定である
- 毎年、利益を出すが毎年利益は計上できるものの資産に含み損があり債務超過に陥っている
下記の対策を行います。
(対策)
- デットエクイテイスワップを行い、債務を資本に変えます。
- 債務超過のうちに後継者に株式を移転します。これにより対策前に支払うはずであった相続税がなしとなり、贈与税も支払う必要がありません。
(効果)
- 社長の相続財産が債権から株式に変わります。
- 会社の財務体質が改善されます。
(課税関係及び留意事項)
- 借入金を資本金に振り替えることになるので結果的には1株あたりの純資産価額は上昇することになります。しかし、債務超過が減るのみであれば、他の株主への贈与税の課税は生じません。
- 借入自体の評価が額面以下の場合は、会社のほうで一部債務免除益といった課税問題が生じることがあります。
- 株価が上がる前に後継者に移転する等の対策が必要な場合もあります。
- 資本金が増えるため、地方税の均等割りが増えます。
Q36. 居住用財産の特例の買換え資産の見積もりが異なった場合はどうすればよいでしょうか?
A .下記の前提において
(前提)
- 昨年、居住用財産の特例を受けた
- 買い替え資産の特例を受けた年(譲渡した年)の翌年に買い替え資産を買うつもりだった
- 確定申告の際に見積り額により申告した
- 実際に買い替え資産を購入した場合に見積り額に差異がでた
下記の通りとなります。
- 見積り額が実際の買い換え資産を超える場合、修正申告を行い
不足額を納付する必要があります。
(1)譲渡した年の翌年中に買い換え資産を取得しなかった場合
譲渡した年の翌年12月31日の翌日から4月以内までに修正申告を提出します。
(2)譲渡した年の翌年中に買い換え資産を取得したが、その購入額が見積り額に満たない場合
譲渡した年の翌年12月31日の翌日から4月以内までに修正申告を提出します。
- 見積り額が実際の買い換え資産に満たない場合
更正の請求を行い、還付を受けます。 買い換え資産を購入した日から4ヶ月以内に更正の請求をします。
Q37. 立ち退き料をもらった場合の税金の扱いは、どうなるのでしょうか?
A .下記の前提において
(前提)
- アパートの住民である。約25年ほど居住していた
- 大家の都合で立ち退くことになった
- 立ち退き料の名目で1,000万もらった
- 居住用財産の特例を使って節税はできないか
居住用財産の特例は使えません。理由は下記の通りです。
- 居住用財産の軽減税率の特例及び特別控除の特例の対象となる資産は、分離課税となる建物、土地、借地権等に限られています。
- アパートの住民が持つ借家権は、上記の建物、土地、借地権等には該当しません。
- 立ち退き料は、総合課税になります。所得の区分としては、譲渡所得か、一時所得になります。
Q38. 社長が会社から土地を購入する場合の取り扱いはどうなりますか?また、税金はかかりますか?
A .下記の前提において
(前提)
- 製造業、従業員120人
- 平成3年に購入した土地1億2,000万円(現在9,000万)
- 会社から購入したいと思っている
- 現在は空き地となっている
- 自社株の評価上、土地特別法人であり、土地の保有割合は72%
下記の対策を行います。
(対策)
- 含み損を捻出して法人税を節税します。
- 土地保有特別法人から外し、相続税を減らします。
(効果)
- 法人税の節税を図ることができます。
- 相続税の節税を図ることができます。
(課税関係)
- 土地の時価は、相続税評価でなく、時価であることに気をつけます。時価と相違する場合は課税関係が生じます。
- 土地保有特定法人から外れるかの算定を毎年計算し、土地の時価の変動に留意する必要があります。
- 会社の財務体質の改善等を図る必要があります。
- 土地購入後の使用状況、購入目的を考える必要があります。
- 社長個人に不動産取得税及び登録免許税がかかります。
Q39 借地権と土地の交換はできますか?
A .下記の前提において
(前提)
- 土地賃貸会社
- 昭和35年にある会社に土地(5,000㎡)を賃貸した
- 賃貸借契約の満了により明け渡しを請求したが、拒否された
- 契約当時は権利金は支払っていない
下記の対策を行います。
(対策)
- 土地の一部を提供し、借地権と土地(底地)を交換します。
- 借り主との交渉になりますが、提供する土地の地積を決め、有効活用の道を開きます。
- 借地権の買取りができれば買い取ります。その際会社の資金繰りを考え、また、買い取るだけの投資効果があるかどうかもご検討下さい。(5年くらいで回収できる投資計画を作成します)
(課税関係)
交換の特例が適用できる場合は無税となります。要件は以下の通りです。
(交換の要件)
- 同一種類の資産の交換であること
- 取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途に供すること
- 譲渡資産は1年以上所有している固定資産であること
- 取得資産は相手方が固定資産として1年以上所有していたものであり交換のために取得したものでないこと
- 交換差金の金額がその交換した資産の高い方の価額の20%以下であること
- 確定申告書に一定の明細書を添付すること
Q40 株式を移動するときの留意点はどこでしょうか?
A.留意点は下記の通りです
1.譲渡制限付き株式は取締役会の承認が必要です
イ.売買・・・・必要です
ロ.交換・・・・必要です
ハ.贈与・・・・必要です
ニ.相続・・・・不必要です(定款に売渡請求を付けることも可能)
ホ.遺贈・・・・必要です
ヘ.死因贈与・・必要です
*上記のように相続は必要ございませんので、定款に売渡請求をつけることも考えたほ
うが、よいかもしれません
2.下記の場合は配当還元価額による譲渡が可能です
親族以外の第三者に贈与または譲渡する場合に採用します
3.親族に贈与による移転の場合は、下記の金額を採用いたします
38%控除する純資産額と類似評価額との併用
したがって相続税評価額を採用します
4.親族に譲渡による移転の場合は、下記の金額を採用いたします
イ.両者が個人の場合 売主と買主の両方が個人
38%控除する純資産額と類似評価額との併用
したがって相続税評価額を採用します
ロ. 一方が法人の場合 売主か買主が法人
38%控除しない時価純資産額と類似評価額との併用
5.自社に買い取ってもらう場合は下記に留意ください
1.買取資金は、分配可能額の金額が限度となります(会社法第461条)
2.含み益はみなし配当となり税率は15%からから55%(総合課税)となります
3.相続した株式、相続時精算課税による贈与をうけたものについては相続申告期限から3年以内に買い取ってもらったものは20%の税率で行います(申告分離課税)