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●よくある事例とその解決策

Q1. 個人資産を会社に贈与できますか?また、なにか問題はありますか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 債務超過になっている会社
  2. 社長が全株を所有している
  3. 社長が会社の連帯保証人になっている
  4. 会社を支援したいと思っている

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 会社に社長の個人資産である土地を贈与します。
  2. 会社の欠損金を利用します。
  3. 会社は社長から贈与を受けた土地を他に売却して財務体質を強化します。

(効果)

  1. 会社の借入金を減らすことが可能となります。
  2. 相続税の対象となる個人財産を減らすことが可能となります。
  3. 売却すると、売却代金が問題になが、贈与の場合は資金が必要ありません。しかし、贈与でも社長に譲渡税がかかります。(長期所有の場合は譲渡益の20%)

(課税関係及び留意点等) 

  1. 譲渡所得税がかかります。
  2. 時価で譲渡したものとみなします。
  3. 他の株主がいる場合には贈与税がかかります。(この事例は問題なし)
    贈与後の株価を算定し、贈与前との株価の上昇分が贈与税の対象となりますので留意が必要です。
  4. 欠損金は7年前のものしか控除できないため受贈益に法人税がかかります。
  5. 資本金が1億以上の場合は留保金課税がかかる場合があります。
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Q2. 法人成りする際に不動産を現物出資できますか?また、税金はかかりますか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 個人で機械加工業を営んでいる
  2. 会社組織にしようと思っている
  3. 工場を所有している
    (建物 帳簿残高 5,000万、土地 購入金額 2,000万、時価合計2億円)

下記の対策を行います。

(対策)  
譲渡としたと考えられます。したがって2億-(5000万+2000万)の譲渡益に対して税金がかかります。

(効果)

  1. 個人財産を株式に移転することにより事業承継をスムーズに行えます。
  2. 株式の評価方法を利用して類似業種比準価額方式や純資産価額方式(法人税の42%を控除)を利用して相続税の負担を減らす ことができます。
  3. 個人組織から法人組織に変更して対面上をよくして売上拡大を図ることができます。 
  4. 会社設立の目的をはっきりさせることができます。

(課税関係及び留意点等) 

  1. 譲渡側に譲渡所得税がかかるが法人は資本取引のため課税関係はありません。
  2. 株式の保有割合が現物出資者に偏ってしまいます。
  3. 含み損のある物件と含み益のある物件を同時に出すことにより譲渡所得税の減額が可能となります。
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Q3. 社長が会社から土地を購入する場合に注意することは何ですか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 製造業、従業員120人
  2. 平成8年に購入した土地1億2,000万円(現在・時価5,000万)
  3. 会社から購入したいと思っている
  4. 現在は空き地となっている
  5. 自社株の評価上、土地特別特定法人であり、土地の保有割合は72%

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 含み損を捻出して法人税を節税します。
  2. 土地保有特定法人から外し、相続税を減らします。

(効果)

  1. 法人税の節税を図ります。
  2. 土地保有特定法人から外れると類似業種比準価額が使え、相続税が減ります。

(課税関係及び留意点)  

  1. 土地の時価は、相続税評価でなく、時価であることに気をつけます。時価と相違する場合は、社長に対する賞与課税される場合があります。
  2. 土地保有特定法人から外れるかの算定を毎年計算し、土地の時価の変動に留意する必要があります。
  3. 社長個人に不動産取得税及び登録免許税がかかります。
  4. 会社の財務体質の改善等を図る必要があります。
  5. 土地購入後の使用状況、購入目的を考える必要があります。
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Q4. 会社と社長の共有地を分割した場合の取り扱いはどうなりますか?また、税金はかかりますか?

A 下記の前提において

((前提)

  1. 20年前に社長と会社で資金を出し合い、共同して土地を購入して共有登記した
  2. 現在は空き地である(抵当権は設定していない)
  3. 社長の個人資産は約4億円である

下記の対策を行います。

(対策)
共有登記のある土地については、法人側又は個人側のどちらか一方のみの有効活用や、抵当権の設定などの使用方法に偏る傾向があります。例えば、法人側又は個人側のどちらか一方のみの有効活用や、抵当権の設定などの使用方法に偏る傾向があります。その場合、個人側には、毎年の利益に対する所得税のほか財産課税である相続税がありますので、場合によっては、会社が使用している場合は単独では売却できないなど支障がでることがあります。そのため下記の対策を行います。

  1. 法人と個人の財産を分けて物納に備える
  2. .法人と個人の財産を分けて個人の相続税の納税資金を確保する(社長の単独所有分を売却する)
  3. 法人は分割後、単独所有となった場所については有効利用を図る

(課税関係)  

  1. 会社が他の者との共有に係る土地をその共有持分に応じて合理的に分割したときは、その分割による土地の譲渡はなかったものとみなすため、税金はかかりません。
  2. 分割に伴う測量費、登記費用などの諸経費については、法人側では、経費として、個人側では、事業用資産であれば経費に、それ以外は取得費に加算されます。
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Q5. 借地権と土地の交換はできますか?また、税金はかかりますか?

A .下記の前提において

(前提) 

  1. 不動産賃貸業を営む会社
  2. 昭和24年にある会社(同族外)に土地(4,200㎡)を賃貸した
  3. 賃貸借契約の満了により明け渡しを請求したが、拒否された
  4. 契約当時は権利金は支払っていない

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 土地の一部を提供し、借地権と土地(底地)を交換します。
  2. 借り主との交渉になるが、提供する土地の地積を決め、有効活用の道を開きます。
  3. 借地権の買取りができれば買い取ります(立ち退き料)。

(効果)

  1. 有効活用し、会社の資金繰りを改善できるようになります。

(課税関係及び留意点)

  1. 借地権の買取の場合は会社の資金繰りを考え、また、買取るだけの投資効果があるかどうかも検討します。
  2. 同時に利回りの悪い財産を処分します。
  3. 融資を受ける場合は10年から15年くらいで回収できる投資計画を作成します。
  4. 交換の特例が適用できる場合(以下の要件を全て満たした場合)は無税になります。

①同一種類の資産の交換であること
②取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途に供すること
③譲渡資産は1年以上所有している固定資産であること
④取得資産は相手方が固定資産として1年以上所有していたものであり交換のために取得したものでないこと
⑤交換差金の金額がその交換した資産の高い方の価額の20%以下であること
⑥確定申告書に圧縮額の損金算入に関する明細書を添付すること    

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Q6.会社が従業員から自己株式を買い取る際の注意点は何ですか?

A .下記の前提において
(前提)

  1. 郊外に25店のチェーン店を経営している飲食店
  2. 出店の都度、店長に第三者割り当てにより増資をしてもらい開業資金の一部に充当している
  3. 現在、従業員持ち株会はなく、社長一族が70%、従業員が30%所有している
  4. 今回、30年勤めた店長が退社することになり、株を購入しようと思っている

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 自己株式の買取りとして臨時株主総会にて決議します。
  2. 一度、暫定的に会社が買取り、新店長が誕生したらその店長に株式を譲渡します。(譲渡時は取締役会にて決議します)
  3. 今まで通り、店長が株式を保有することで経営に参加することになるので、業績をあげる意識を高めます。
  4. 退職する場合は、株式の分散を防ぐために、今後もこのように暫定的に会社が買い取る形を取るようにします。

(効果)

  1. 経営権の分散を防ぐことができます。
  2. 社長が買い取ると同族株主に該当するため原則として、純資産価額を準じる評価相当額で譲渡する必要があります。
  3. 会社が従業員から購入する場合は、ほとんどの場合、配当還元価額で移転できます。

(課税関係及び留意点等)

  1. 会社が自己株式を保有するのは、あくまでも暫定的に新店長が買い取る間の保有であり、新店長が買い取ることなく、最終的に社長一族が買い取ると課税上問題があります。
  2. 自己株式の買取りになるため会社法の規定に従う必要があります。
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Q7. 会社が社長から自己株式を買い取る際に買取価額はどうすればよいですか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 父が創業者である電気製品加工業
  2. 父が60%、社長(息子)が30%、従業員10%
  3. 社長(息子)が100%所有している電気製品販売業がある

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 父の持ち株をまず、電気製品販売会社に30%譲渡します。
  2. 次に、父の持ち株を社長に10%譲渡します。
  3. 父の持ち株を残りの10%は5年をかけて社長に贈与します。
  4. 父の持ち株のうち残りの10%は同族でない役員に譲渡します。

(効果)

  1. 自己株式を会社が買い取るとみなし配当課税がかかり税率が高くなることが多いですが、電気製品製造会社、社長に譲渡した場合は父の譲渡税は20%で済みます。
  2. 父は、相続前に株式の流動化を行うことにより有効活用をはかる期間を長くとることができます。

(課税関係及び留意点)

  1. 電気製品販売会社の資金繰りは健全性を保てるか。また、社長は10%に相当する資金があるかについて留意する必要があります。
  2. 電気製品販売会社への譲渡に係る売却金額については純資産価額と類似業種比準価額に準じて算定した価格にて譲渡します。
  3. 同族以外への譲渡は、配当還元価額での譲渡になります。
  4. 社長個人への譲渡は相続税評価額に従うと課税問題は生じません。
  5. 相続発生前の株式の移転は長期間の財産移転計画の一つとしての位置付けと考えられます。
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Q8. 増資の引き受けは個人、法人のどちらで所有するのが有利ですか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 旅館業を営んでいる会社(社長60%、妻40%)
  2. 現在、業績をのばし、1都5県に8店舗運営している
  3. 今回、9店舗目を新設する予定だが、建築資金を借り入れと増資で賄う予定である
  4. 社長が50%、社長の息子が50%所有している運送会社がある

下記の対策を行います。

(提案)

  1. 株主割当を行うことにより、社長と妻も比率は変えないという方法が考えられます。

(効果) 

  1. 建築してから3年以内は建物の評価は取得価額当額ですが、3年を超えると固定資産税評価額となります。したがって、3年後に株の評価金額が下がります。その後、推定相続人に株式を移転します。

(課税関係及び留意点)

  1. 9店舗目の業績や既存の店舗の業績によっては、株価が上昇する能性があります。そのため、株価が上がる前に株式を移転する必要があります。
  2. 第三者割当により後継者が株を割り当てることにより社長持分を減らす方法もありますが、後継者に割り当て時に贈与税がかかる場合があります。 
  3. 運送会社が引き受けると、社長の個人財産から除外されますが、運送会社の株価が上昇したり、運送会社の株式の保有割合が上昇するため、株式保有特別会社に該当することもあるので注意が必要です。
  4. 会社が増資資金のために融資を受ければ、無条件に利息が経費に落ちますが、個人は配当がないと経費に落ちません。
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Q9. 従業員持ち株会を作ることは意味がありますか?また、どのような効果がありますか?

A .下記の前提おいて

(前提)

  1. 雑貨チェーン店を営む会社で、現在18店舗営業している
  2. 有能な人材を確保するのが難しいのが現状である
  3. 当社の株式を社長一族で100%所有している
  4. 有能な人材の確保と福利厚生の充実を確保したいと思っている

下記の対策を行います。   

(対策)

社員の従業員持ち株会を作ります。

(効果)

  1. 従業員に経営参加意識を持たせ従業員の勤務意欲の向上と労使の協調が図れます。
  2. 従業員の財産形成に寄与し従業員の福利厚生の充実が図れます。
  3. 従業員持ち株会を安定株主としての位置付けとします。したがって安定株主であり株式の分散が防げます。
  4. オーナー一族の持ち株割合を減らすことが可能であり、相続税が減ります。

(課税関係及び留意点等) 

  1. 従業員の退職時に持ち株会が買い取ることにより株式の分散を防ぐ必要があります。
  2. 従業員持ち株会に譲渡する際の譲渡金額については、配当還元価額を参考にするのが妥当です。
  3. 従業員持ち株会は民法の定める組合方式にすることにより、持ち株会個人には株券を渡さないことが必要です。
  4. 従業員持ち株会に規定を定めることも必要です。
  5. 会社が、従業員持ち株会が取得する株式の取得資金の1部を負担する場合には、従業員持ち株会の構成員に対する所得税の源泉課税の問題が出てきます。
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Q10. 議決権を過半数以上もち経営権を維持したいのですが、何か良い方法はありますか?

A .下記の前提において

(前提)   

  1. パソコンショップを営む会社で、現在18店舗営業している
  2. 有能な人材を確保するのが難しいのが現状である
  3. 有能な人材の確保と福利厚生の充実を確保したいと思っている
  4. 過去に株式の分散をしてしまい、社長一族の持分が48%になってしまった
  5. 議決権が48%しかなく、非常に経営が不安定である

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 無償株式分割を行います。その際に発行する株式は無議決権株式とします。
  2. 分散した株式(議決権のあるもの)を買い取り、議決権を50%以上にします。

(効果)

  1. 無償株式分割を行うことにより、1株あたりの株価が下がり、買取資金が減らすことができます。
  2. 分散してしまった株式を結果的にはすべて無議決権株式にすることにより経営の安定化を図ります。

(課税関係及び留意点)

  1. 従業員から買い取るのは社長でなく、推定相続人にします。
  2. 従業員から買い取る場合は、原則評価である純資産評価額方式または類似業種比準価額方式による価額で買う必要があります。低額の場合は贈与税がかかります。
  3. 議決権については普通決議については1/2以上、特別決議については、2/3以上必要になります。
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Q11. 会社設立時に名義借りしていた株式はどうすればよいですか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 設立が30年前に設立した建設業
  2. 地元の名士であり、かなりの資産家である
  3. 株主は7人いるが、名義上の株主が4人いるが、今までお礼代わりに配当も名義人に分配していた。

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 現在までの配当をすべて名義人のものとして申告しているのが誤りであるため既住の課税関係を修正します(更正の請求と修正申告)。
  2. 実質所有者が誰であるかにつき名義人と合意書をかわします。

(効果)

  1. 税法は実質主義に従うことになります。
  2. 名義株も相続財産であり、現在の状況を続けると、税務調査時に相続のときの財産の範囲に問題を残す可能性があります。

(課税関係及び留意点)

  1. 合意書をもらえない場合または名義株を利用せざる得ないときは、実質所有者を確定し、配当所得も当然実質所有者が申告します。
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Q12. 名義株の認定をうけないためにはどうすればよいですか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 建設業 発行済み株式数 5000株
    社長3000株 妻500株 
    長男500株 長女500株 次男500株
  2. 1株あたりの株価は25万の優良会社

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 株券を発行し、株主名簿を作成します。
  2. 配当金を実際に受けて下さい。
  3. 会社設立時につき資金の出所等を証明する資料がない場合は、株式の所有者間で同意書等を作成します(この際、氏名・住所は直筆・印鑑は実印を押します)。
  4. 株主有償割り当ての時も全員が増資を参加し、証拠を作って下さい。

(課税関係及び留意点等)

  1. 税務調査の際には、証拠が効果をもちます。
  2. 相続調査のときに税務署は名義株について、念入りに調査をしてきます。
  3. 株券の保管状況・所得税の申告書、配当の入金状況、増資の状況などが例として挙げられます。
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Q13.土地保有特定法人から離脱するための方法が知りたいのですが(その1)

A .下記の前提において

(前提)

  1. 首都圏に土地を数多く所有する建設業兼不動産賃貸業
  2. 土地の相続税評価額が総資産の相続税評価額の3/4以上を占めるため「土地保有特定法人」に該当
  3. 従業員は125人(相続税法上、大会社)
  4. 社長が100%所有

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 不動産賃貸業と建設業を会社分割により分割します。
  2. 建設業は、類似業種比準価額を使用します。
  3. 不動産賃貸業は土地保有特定法人のままですが、この会社については、利益の圧縮等の手段により評価引き下げを行います。

(効果)

  1. 建設業の決算内容は節税対策が打ちにくいですが、不動産賃貸業は建設業に比べて節税対策が打ちやすいです。

(課税関係及び留意点等)

  1. 適格分割の要件に該当しないと、課税関係が生じます。
  2. 抵当権の問題等銀行との話合いが必要です。
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Q14. 土地保有特定法人から離脱するための方法が知りたいのですが(その2)

A .下記の前提において

(前提)

  1. 郊外に土地を数多く所有している倉庫業
  2. 土地の相続税評価額が総資産の相続税評価額の72パーセントを占めるため「土地保有特定法人」に該当
  3. 従業員は52人、総資産12億円(帳簿価額)売上8億
  4. 相続税上の大会社
  5. 社長が100%所有

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 時価会計の主流にあわせ不良債権を売却し、総資産の帳簿価額を3億円減らします。
  2. 総資産の帳簿価額を12億円から9億円に減らします。
  3. 大会社から中会社に移行し、土地の相続税評価額の占める割合が90%以上になるため、土地保有特定法人から外れます。

(課税関係及び留意点)

  1. 中会社に該当しても、土地の保有割合が90%以上になると土地保有特定法人に該当してしまうため、毎年、評価を算出し定期的にチェックをすることが必要となります。
  2. 含み損を出すことになるため、債権者等の理解が必要になります。
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Q15. 社長から会社が土地を借りようとしていますが、税金はかかるのでしょうか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. ファミリーレストランを営む法人
  2. 業務の拡大と資金調達の問題で社長の個人資産である土地を借りようと考えている

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 借地権の設定契約に土地の無償返還を定め、かつ、「土地の無償返還に関する届け出書」を会社と社長との連名で所轄税務署に提出します。
  2. 地代は近隣相場を想定して固定資産税等の3倍程度にします。

(効果)

  1. 社長側につき権利金の認定課税をうけません。

(課税関係及び留意点等)

  1. 「土地の無償返還に関する届け出書」を提出する場合、下記に留意します。
    1)契約時に権利金の授受がないこと
    2)地代は最低でも固定資産税2倍から3倍程度にします。
    3)自社株の評価上、土地の評価額の2割が借地権と計上されること。かわりに土地の評価は更地の8割になります。
    4)地代は相当の地代(相続税評価額の6%)をとることが前提になっていますが、貸主が個人ですと、適用される税法が所得税法になります。所得税法の場合は、認定課税がございませんので、相続税評価額の6%の地代を認定されることはありません。したがって実際に受け取った地代のみ(固定資産税の3倍程度)を申告します。
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Q16.会社が社長から借りている土地を返したいのですが、無償返還と有償返還のどちらになるのでしょうか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 運送業と倉庫業を営む法人である
  2. 30年前に社長と会社の間で土地の賃貸借契約書を設定している(1度更新している)
  3. 最近、事業の後退から倉庫業を止めようと思っている
  4. 契約当時、権利金は支払ってなく、「土地の無償返還に関する届け出書」は提出していない
  5. 契約期間はまだ5年残っている
  6. 立ち退き料を支払うべきかどうかについての悩みがある

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 2つの理由から借権権を会社に移転していると思われます。「土地の無償返還に関する届け出書」の提出がないこと、地代の金額も相当の地代以下であること、の二点です。したがって、有償により返還する必要がありそうです。
  2. 借地上の建物が老朽化しているなど建物自体を維持するのが困難な場合には、無償返還という可能性もありますが、この事例では当てはまらないと思います。

(効果)

  1. 社長側につきそのため、有効利用する方法が考えられます。収益性の高いものに変えることにより納税資金の確保が図れます。

(課税関係及び留意点等)

  1. 無償返還の場合、社長に対して賞与認定を受けます。
  2. 無償返還の届け出の提出期限は特にありませんが、今から出すわけにはいかないと思われます。
  3. 相当の地代を支払っていれば、無償返還と行なっても課税問題は生じません。
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Q17. 社長の所得税が高すぎるので少し安くならないでしょうか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 社長の個人資産は自社株を除いて不動産のみで10億円くらいあり、家賃収入だけで年間1億円くらいある
  2. 所得税、住民税の支払いが重い
  3. 相続のこともそろそろ考える必要がある

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 相続人を100%株主にして会社を設立します。
  2. 資金は贈与か又は自己資金を利用します。
  3. 不動産管理会社の運営形態は転貸方式を選択します。管理会社が直接、借り主と契約します。社長と会社では、1棟を単位に一括契約します。

(効果)

  1. 社長の所得税が減ります。
  2. 後継者へ資金が贈与でなく給与とう形で移動が可能になり効率的です。

(課税関係及び留意点等)

  1. 実際もらう家賃と転貸する家賃の差額は相場で行う必要があります。参考に知り合いの不動産会社に聞いてみるとよいでしょう。
  2. 賃貸借契約書をすべて変更する必要があります。便宜的に貸主を新会社に読み替える通知でもよいと思われますが、更新時には作成する必要があります。(貸主が新規の会社になるため)
  3. 社長の家族の事情、相続人の事情等も考える必要があります。
  4. 社長の財産の分析、自社株の評価等総合的に相続対策を考える必要があります。
  5. 後継者と会社の役員を誰にするかも関連がありますので考える必要があります。
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Q18. 社長から会社が賃貸しているビルの修繕費が多く、社長から修繕費を負担できないと言われ困っていますが、何か良い方法はありますか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 創業してから40年を迎える老舗の金型製品製造業である
  2. 社長が所有するビルを会社が本社事務所としている
  3. 建築後30数年とかなりビルが老朽化し、最近修繕費がかさむようになった。いままでの小規模の修繕費は会社が負担してきたが、今後の大きな修繕費についても、会社で負担してもよいのか不安である

下記の対策を行います。

(対策)

  1. かなり老朽化しているようですので建物のみを社長から買取り、土地については賃借します。
  2. 上記の場合につき権利金が支払えない場合は、社長との間で、無償返還の届出を建物の買い取りと同時に行います。

(効果)

  1. 建物の価格は時価になりますが、これについては今後発生する莫大な修繕費は控除したところで売買されます。
  2. 今後の修繕費はすべて会社の負担になります。
  3. 無償返還の届出の提出により会社の資金繰りにさほど影響なく本社ビルを買い取ることが可能です。
  4. 土地は社長個人の資産となりますので、地代を収受できます。相当の地代相当額を地代にすれば、以前、収受していた家賃とさほど変わらないのではないでしょうか?

(課税関係及び留意点)

  1. この状態がそのまま続き、社長個人が負担すべき修繕費を会社が負担した場合は役員賞与になります。
  2. 社長個人の土地の評価については、無償返還の届出の提出により貸宅地として更地の評価から2割差し引いた金額となります。
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Q19. 会社が社長から無利子で借入はできますか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 官庁の小冊子の製造販売業である
  2. 官公庁が取引先でから納期が年度末の3月になることが多く、資金繰りが難しいのが現状である
  3. 最近、業績が下がってしまい、当面の資金繰りを社長からの借り入れにより賄おうと考えている

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 会社の資金繰りが悪いとのことですから、社長からの利息は無しにします。
  2. 会社の資金繰りが改善したら社長は会社から返済を受けます。社長の相続発生時にその貸付金がある場合は相続財産になってしまいます。

(課税関係及び留意点等)

  1. 所得税の特徴として、金銭の貸し付けを行いその利息を収受しないときも受取利息の認定は行われません。また、会社側においては、支払利息の免除を受けますが、支払利息と支払利息の免除益で相殺されますので課税問題が生じません。
  2. 消費貸借契約書の作成を作成し、返済期日と返済金額、さらに利息を取らない旨を記載します。
  3. また、役員と会社の間での金銭の貸し借りは利益相反取引になりますが、無利息であればあえて必要もないと思われます。ただ念のため取締役会の承認と議事録の作成をお勧めいたします。
  4. 利息を支払った場合は、社長は雑所得課税になりますので確定申告が必要です。
  5. 契約書に記載されている金額以上の利息を取ったり、業績がよくなってから過去にさかのぼって利息を支払った場合は利息でなく役員賞与となります。
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Q20. 社長からの借入金は返済しなければいけませんか?

A .下記の前提において

(前提)

  1. 4つの居酒屋とレストランを2店舗所有する会社です
  2. レストランの2店目の建設資金の大半である3億円を社長から借り入れにより調達しました
  3. 1店目はかなり業績もよく、いまでもかなり利益がでるのですが、2店目はかなりの赤字です。そのため、社長への返済が滞っているのが現状です

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 消費貸借契約書を作成し、返済計画を作ります。その際、無利息にします。
  2. 社長からの借入金を現物出資し、資本金に振替えます(デット・エクイティブ・スワップ)。
  3. 最悪のケースでは、会社分割を行い不採算な店舗と優良な店舗に分割し、不採算な店舗を引き継いだ会社を解散させます。

(効果)

  1. 借り入れが社長からの贈与と見られる可能性があり、その場合は会社に受贈益が計上され、課税問題が生じます。そのため、金銭貸借契約書を作成し、返済計画を作り、返済の実績を作ります。
  2. デット・エクイティブ・スワップを行うことにより社長に返済する必要もなくなり財務体質の改善にもつながります。

(課税関係及び留意点等)

  1. 社長が仮に債務免除した場合は受贈益に対して法人税がかかりますが、社長においては、損益通算できません。
  2. 社長が会社に貸している債権については、相続税の対象になります。
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