特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の完全併用が可能に
以前は2以上の宅地等につき小規模宅地等の特例の適用を受ける場合は限度面積について調整計算が必要でした。
平成25年度の税制改正により、特定事業用宅地等及び特定居住用宅地等の2つについては、完全併用が可能となりました。
したがって、特定事業用宅地等で最大400㎡、特定居住用宅地等で最大330㎡の合計730㎡まで特例を受けることが可能となりました。
小規模宅地等にかかる適用対象面積の限度額 730㎡
(特定事業用宅地等で最大400㎡、特定居住用宅地等で最大330㎡の合計730㎡)
どのくらいの節税効果があるか考えてみましょう。たとえば自宅の敷地330㎡、相続税評価額が1億2,000万円、特定事業用の敷地が400㎡、相続税評価額7,000万の場合を考えてみましょう。
(節税効果)小規模宅地の評価減の金額 5,600万円増加
1億5,200万△9,600万=5,600万
(現行の評価減の金額) 1億5,200万
(自宅の部分)1億2,000万円÷330㎡×330㎡×80%=9,600万円
(特定事業用部分)7,000万円÷400㎡×400㎡×80%=5,600万
(合計) 9,600万+5,600万=1億5,200万
(改正前の評価減の金額) 9,600万
(自宅の部分)1億2,000万円÷330㎡×330㎡×80%=9,600万円
1. 貸付事業用宅地等の拡充
「限度面積」については、「貸付事業用宅地等」と「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」についてこの特例の適用を受けようとする場合に、次の算式を満たす面積がそれぞれの宅地等の限度面積になります。
(算式)
A×200/400+B×200/330+C≦200㎡
A 特定事業用宅地等の面積
B 特定居住用宅地等の面積
C 貸付事業用宅地等の面積
たとえば自宅の他に賃貸マンションなどをお持ちの方を例にあげましょう。
自宅の敷地が200㎡、相続税評価額が5,000万円、マンションの敷地が200㎡、相続税評価額が5,000万の場合を考えてみましょう。下記のとおり現行は評価の引下が563万円も大きくなっております。
(改正前)小規模宅地の評価減の金額 4,412万円
(自宅の部分)5,000万円÷200㎡×200㎡×80%=4,000万円
(マンションの部分)5,000万÷200㎡×33㎡×50%=412万円(万円未満切り捨て)
*小規模宅地等の特例の適用にあたり、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、貸付事業用宅地等を併用する場合は下記の計算式から適用面積の限度額を算定します。この例ではマンション部分は33㎡となります。
*A+B×5/3+C×2≦400㎡
A 特定事業用宅地等の面積
B 特定居住用宅地等の面積
C 貸付事業用宅地等の面積
(現行)小規模宅地の評価減の金額 4,975万円
(自宅の部分)5,000万円÷200㎡×200㎡×80%=4,000万円
(マンションの部分) 5,000万÷200㎡×78㎡×50%=975万円
*小規模宅地等の特例の適用にあたり、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、貸付事業用宅地等を併用する場合は下記の計算式から適用面積の限度額を算定します。この例ではマンション部分は78㎡となります。
*A×200/400+B×200/330+C≦200㎡
A 特定事業用宅地等の面積
B 特定居住用宅地等の面積
C 貸付事業用宅地等の面積