①純資産価額方式の例
貸借対照表
資産 37億円 |
負債 15億円 |
資本金 5000万円 |
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利益積立金等 21億5000万円 |
* 1株 額面500円
* 発行済み株式総数 10万株
1)資産・負債は相続税評価額に換算される。
土地・2億円・・・・・→32億円(含み益30億円)
含み益の30億が加算され、総資産は67億となる。
純資産・67億円―15億円=52億円
但し、株価計算上含み益からは法人税等を差し引いて計算する(30億円×38%=11.4億円)
2)株価計算
(52億円―11.4億円)÷10万株
=1株 40,600円(※81.2倍)
※40,600円÷500円=81.2倍
3)全社財産額
40,600×10万株=40.6億円
4)純資産価額方式による株価の高い原因
イ・利益積立金の内部留保が多額になっている
ロ・土地・借地権・有価証券等の含み益が多額で簿価純資産に加算される
②類似業種比準価額方式の例
1)事例
(相続税法上の大会社で建設業)
(資本金5000万、発行済み株式総数10万株、額面1株500円)
・類似業種の株価 590円(@50円換算)
・年間配当 10円(20%)
・年間税引き前利益 2億円(資本金の4倍:50円換算の1株あたり200円)
・簿価の純資産価額 22億円(資本金の44倍:50円換算の1株あたり2200円)
・計算
590円×(10円/3.8円+200×3/28+2,200円/238)
5
×0.7×500円/50円=27,464円(*55倍)
*上場株式の株価の11.8倍と比準する。(590÷50=11.8 )
*配当は2.6倍と比準する。(10÷3.8=2.6倍)
*利益は21.4倍と比準する。(600÷28=21.4倍)
*簿価純資産は9.2倍と比準する。(2,200÷238=9.2倍)
*55倍 27.464÷500円=54.9倍≒55倍
・全社財産額 27,464円×10万株=約27.4億円
2)類似業種比準価額方式による株価の高い理由
1.基本的計算式の矛盾がある
*中小企業は資本金が上場企業と比べると小さいため、配当、利益、純資産のすべて比準値が過大になる矛盾がある。
※上場株価に0.7を乗じたくらいでは株価は下がりにくい
2.比準する上場株式の株価に左右される
3)今後、ほうっておくと株価はどうなるか
1.利益金額の税引き後の利益積立金が増加して株価が高くなる
2.業績を上げ、利益を出せば出すほど株価が高くなる
3.土地等の含み益が上昇すれば株価は高くなる
4.類似業種の上場株式の株価が上昇すれば高くなる