一般的に保険金により税金は増えます。それは、保険金が入ると財産が増えるからです。そのために納税資金の準備ができたと喜ぶ人もいれば、税金が高くなると思うかたもいます。例えば法定相続分の相続財産が3億円超の部分は相続税の税率50%、6億円超の部分は55%の税率が適用されます。このように大資産家のかたは、もうこれ以上財産を増やしても半分以上は税金でとられるだけです。「かりに1億円の保険金が入っても5500万円は相続税でもっていかれるわけだから、4500万円ではしょうがない、わりがあわない」という話をされるかたがいらっしゃいます。その場合は、なにも自分で保険をかけなくてもよいのです。相続人である子供が、自分のお金でお父様に保険をかけるのです。お父様が万が一の場合、そういう契約の保険だと、相続人である子供は相続財産としではなく、一時所得として受け取ることになります。このように大資産家の場合は、保険については一時所得を利用すると有利な場合があります。課税対象の違いと税率の違いによってかなり納税がかわります。したがって自分が契約者になる場合と子供が契約者になる場合とではかなり違いがでてきます。
ただし、ここで問題になるのが子供を契約者にしたくても子供に保険料を支払う資金がないという場合があります。しかし、ここに大きな節税のヒントがあります。つまり、こういうケースほど相続対策の効果を受けることができます。生前贈与と生命保険の利用を考えれば、節税効果と納税資金の調達の両方ができることに着目してください。つまり、父親が子供に毎年現金を贈与し、子供はそのなかから贈与税を支払い、残りの現金で毎年の保険料を支払います。このように生前贈与は、相続財産を減らすことにより相続税の負担を軽くするという、相続対策には欠かすことのできない重要な対策です。しかし、一般的には「贈与税は高いので積極的には利用できない」と考えている人が多いようです。確かに贈与税を払った後の現金を子供が貯金しておくだけでは、節税効果だけで相続対策の効果は薄いかもしれません。しかし、贈与された現金を子供が保険料として父親を被保険者とした生命保険に加入すれば、その瞬間から実に積極的な相続対策に変身するのです。
一時所得の課税は下記の算式の通りです。(所得税と住民税)
(受取保険金―支払い保険料総額―50万)×1/2×15%から55%
上記算式から保険差益の7.5%から27.5%の税金ですみますので、相続税率の高い人ほど、この対策のメリットは大きくなります。
子供が保険料を生前贈与された現金から支払う方法は、一時期相続税が課税されるケースもありましたが、昭和58年の国税庁の事務連絡ができて、堂々と一時所得として認められるようになりました。しかし、なんでも認めるのではなく下記のポイントに留意する必要があります。
★ ポイント1
贈与契約書を作成します。これは子供の現金贈与を証明するものです。あくまでも現金贈与ですから保険料の贈与などという余分な言葉を書いてはいけません。
父親と子供がそれぞれ自署、押印するほうが望ましいです。
★ ポイント2
贈与税の申告書の提出 毎年、110万円以上贈与して証拠書類を増やすことも重要になります。
★ ポイント3
契約者は子供、保険料負担者も子供ですから、当該保険につき父親の確定申告時に生命保険控除を受けてはいけません。
★ ポイント4
保険料の支払いは必ず子供名義の銀行口座から支払います。
※ポイント1の贈与契約書は次頁のサンプルを参考にしてください。
*弊社は保険の代理店ではございませんので、保険の詳しい詳細は生命保険の代理店等にお問い合わせください。
※ 贈与契約書サンプル
贈与契約書 贈与者 藤井 和哉(以下甲という)と受贈者 藤井 太郎(以下乙という)
第一条 甲は、その所有する下記の財産を乙に贈与し、乙はこれを受贈した。
第ニ条 甲は当該財産を平成27年8月15日までに乙に引き渡すこととする。
上記契約の証しとして本書を作成し、甲、乙各一通保有する。
平成27年8月12日 (氏名) ㊞
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