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●資産所有法人は作ったほうがよい?~不動産管理会社設立のすすめ~

1.税制改正のトレンドは?個人に増税?法人に減税?

*1 税制の大きな流れ・キーポイントはおおよそ下記のようなものが考えられます。
①消費税を10%にする(H29.4から)
②円安・グローバル社会への対応
③格差社会の拡大を阻止すること
④税制の不公平の解消(特定業種の特典や特定資産の特典など)
⑤国内景気の浮揚策
⑥財政問題
⑦震災復興
⑧年金問題
⑨医療費の増大

2.これからの資産防衛策は?

*1増税時代のなか節税をしながら財産を残すことが重要です。(所得税・相続税・固定資産税・消費税は今後、増税傾向にあります)
*2個人の直接所有から法人への間接所有が最も節税し、財産を残せる承継パターンではないでしょうか?(法人税は減税傾向になります)
直接所有とは個人が土地などの不動産を直接所有することを意味します。間接所有とは
会社が土地などの不動産を所有し、個人は株式を通して土地などの不動産を間接的に
所有することを意味します。また間接所有の税金(相続税)のメリットもあります。
簡単に説明すると値上がり資産に対して減額評価できます。
下記は1例です。ご参照ください。
(例)1000万円の土地を50年所有し、5000万円に上昇した場合、個人所有だと5000万の評価に対し、法人だと5000△(5000△1000万)×45%=3,200円となり間接所有することにより節税できます。

3.会社を作ったらどれくらい節税できるのでしょうか?

*1法人税率は住民税もあわせて30%くらいです。(25%+25%×20.7%)
*2個人の最高税率(所得税45%・住民税10%事業税5%)
*3会社を設立することにより推定被相続人の受け取るべき家賃収益が会社に移転し、
相続税を減らすことが可能です
*4会社の収益を役員報酬と会社の利益に分配します
下記は一例です。
【会社設立前】
A物件にかかる所得年2000万円
これにかかる概算の所得税・住民税約1000万(2000万×50%)
【会社設立後】
A物件にかかる所得2000万円を会社に500万、後継者家族A・B・Cに各500万ずつ
分配した場合の概算税額
・会社(500万)500万×30%=150万
ABC(各500万)500万×30%×3人分=450万
合計150万+450万=600万
したがって1000万△600万=400万が節税額となります

4.役員構成・株主構成を決めましょう

*1株主・役員は相続人にします。
*2株主を推定被相続人にすると株式が被相続人の財産となってしまいますので、
後継者である相続人を株主にします。
*3役員を後継者家族にすることにより役員報酬を会社から支払います。
ここでは役員になることが重要です。役員は会社と委任契約となりますので、実働に伴う
対価の報酬以外でも報酬を得ることができるからです(一方、役員以外の雇用契約の場合は、
実働に伴う報酬しかもらえません)
5.会社を作ることによる節税を理解しましょう
*1相続人に給与で生前贈与と同じ効果を実現
通常は、贈与税を支払う必要があります。一方、報酬であれば贈与税より低い税金により財産移転ができます。
*2会社に資産を残し、相続人固有の財産作りに寄与
会社の株主は相続人であるため、会社に財産が増えれば増えるほど相続人固有の財産となります。
*3会社を作る目安はあるのでしょうか?
会社に移転できる不動産にかかる所得が1000万円以上だと節税効果がでると思われます。また、会社設立の効果は長期であればあるほど有効です。
*4高い所得税を減らし、法人税を支払い、会社に現金を残し、将来の設備投資や大規模
修繕に備えます。(個人は最大60%の税金を支払った残りの資金で大規模修繕を行う必要があります)

6.会社のタイプ

会社のタイプは不動産所有型にします。
理由は下記の事項があげられます。

*1管理会社タイプH18年の判決
管理料20%以下でも管理の実態を伴わないとして全額否認の注目すべき判決・
外部の管理会社とオーナー会社との管理契約のうち重複契約をチェックされました。
管理業務記録簿の作成などの作成が必要かもしれません。
*2不動産所有型
会社で土地・建物を所有する法人で、不動産にかかる収入をすべて受けます。また、不動産所有型と比較して管理型タイプだと不動産所得にかかる所得を1000万以上、会社に移転するのはなかなか難しいと言えます。(おおよそ管理料は不動産収入の10%から15%程度だからです)。

7.個人の確定申告ではほとんど経費に落ちません

*1交際費50万以上は×
個人の不動産賃貸にかかる確定申告では規模にかかわらず交際費50万以上の場合は税務調査で否認される可能性が高いといえます。
所得税では経費と認められるためには、明らかに業務に関連する必要があることが必要です。プライベートな部分と混在する場合は、業務関連部分と明確に区分し、業務関連部分のみが経費になります。しかし、こういった経費を明確に区分けすることは非常に難しいのが現実です。たとえばですが、同業種同士の飲食代金やゴルフのプレー代金などは、情報交換の意図もあり、個人的な趣味・嗜好もあります。こういった経費の明確な区分けは難しいといえます。税務署側はこういった区分が難解なものは経費にしないというのが実務の流れです。裁判事例でも特にゴルフにかかる経費の否認事例はあとを絶ちません。
また、税務署の視点は、個人にかかる経費は修繕費や固定資産税、火災保険料を除き、そのほかの費用に関してはプライベートな費用が混在しているのではないかという見方です。そのため交際費などの経費は認められにくいのです。
一方、会社は原則、規模にかかわらず、すべての行動、経費は収入を得るために支払うことを前提にしておりますので経費になりやすいのが現実です。言い換えればすべての費用は業務関連費用という考えです。(一方で、会社で個人的な費用を負担したことが税務調査で明らかになった場合は、法人税と所得税の両課税となりえる厳しい処置となります)

*2軽トラ以外の普通自動車20%以上は×
一方、法人では通常、普通自動車でも認められます。
*3不動産賃貸収入が売上5000万以上のかたは、所得税を管轄する特別国税調査官の対象になる可能性があります。(調査は一般のものよりも厳しくなります)

8.建物だけを売却しよう(所有型法人の作り方)

*1土地を売るとかなりの税金がかかります(売却益の20%の所得税・住民税がかかります)
*2建物の値段はどうやって決めるか
通常は、減価償却資産の帳簿価額を売却価額とします。そういたしますと売却に際し、税金がかかりません。
*3建物のみを会社に移すことで家賃の収入の全額を会社に移転できます。(土地の地代を
支払う必要は生じます)
*4原則は、建物代金は一括で決済すべきですが、分割払いでも問題はございません。
極端に大きい金額以外は問題ありません。(10億以上の場合は利息をとる必要があるかもしれませんが通常は必要ありません)
またこの会社に対する債権を後継者に贈与することも可能です。
登記は移転する必要があります。(登記費用や不動産取得税はかかります)

9.無償返還の届けを提出します

*1建物のみを会社に移転する場合、地代を支払う必要があります。通常、借地権も自動的に会社に移転してしまいます。借地権は通常、土地の価格の6割から7割くらいですのでそれに見合う金額を法人は支払う必要があり、現実的ではありません。また、その支払が会社からない場合は、受贈益として会社は多額の法人税の支払を負担する必要があります。
*2無償返還の届出とは
会社は借地権の無いことを貸主(土地の所有者の個人)と確約し、契約期間終了は、無償にて土地を貸主へ返還することを約束する届出書です。これを提出することにより上記1の借地権に相当する金額を会社は支払う必要がなくなります。
*2地代はこうやって決めます
地代の年額を、土地の使用貸借でなく賃貸借契約となるよう土地の固定資産税の2倍から3倍くらいにします。
*3土地の評価も下がります
土地の賃貸借の場合は、土地の評価は更地から2割控除できます。(一方、低廉すぎる地代や無償の地代の場合は使用貸借となりますのでこの場合は土地の減額処理はございません)

10.遺言もつくりましょう

*1会社に賃貸している土地については会社の承継者に遺言しましょう。
*2法定相続分で仮申告・仮納付が必要になってしまいます。
(分割できないと特例を受けられません)
*3配偶者の相続税の税額軽減が使えます。(分割できないと特例を受けられません)
*4最大80%評価減の小規模宅地等の評価減の特例が使えません。
(分割できないと特例を受けられません)

11.お金がたまったら土地を購入しましょう

・会社で長期間運用したことにより現金の留保ができた場合は、土地の所有者から土地を会社で購入します。(譲渡益の2割は税金となりますが、土地の所有者は土地から現金に資産がかわり対策をしやすくなります)
・扶養義務者間での生活費や教育費は非課税ですので同居している限りは、子や孫にいくら収入があっても親がこれらの費用を負担することに問題はありません。
・相続期限後3年以内なら税金はほとんどかかりません。支払った相続税を譲渡益から控除できます。土地の代金を銀行融資により調達したほうがよいかもしれません。(チャンスです)

12.会社でどんどん税金を払いましょう。

*1税金を払わないとお金はたまりません。会社のお金は株式を通じて所有しますので
相続人の財産づくりに寄与します。
*2税金を支払うと銀行の評価も高まります。金利も下がります。
新規投資の際に融資決定がスムーズです。

13.会社ではこんな経費で節税できます

*1自宅の社宅化も可能です。(自宅を会社に売却し、家賃を取る形となります)
*2別荘も保養所として経費におちます。(ただし、使用する場合は利用料を会社にお支払いください)
*3ゴルフ会員権も会社で購入できます。年会費等も会社の経費となります
*4自家用車も経費に落ちます。
*5退職金も経費になります。
*6生命保険も経費になります。

14.最後に

「大切な財産を守りそれを後世に引き継ぐということ」これは最大のテーマです。会社はゴーイングコンサーン(継続企業)を意味します。つまり人間と相違し死ぬことがないのが前提です。
会社を継続することは資産を守り、後世に引き継ぐことになると思われます。

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