医療法人設立の4つのポイント
(1)法人成した場合、厚生年金・健康保険に加入しなければなりません。
したがって、法人設立時の1つめのポイントは節税と厚生年金保険料等の増加の兼ね合いです。特に厚生年金保険料等は今後ますます上昇する可能性がありますので、その点もよく考慮する必要があります。したがって節税等の経済的理由のみだけで判断するのは非常に危険です。
(2)2つめは、個人では経費計上できない生命保険料や社宅家賃などの経費を法人に移動させて損金計上し、さらに会社が大幅に赤字にならない程度に、バランスよく役員報酬を設定することです。
そうすることによって税負担を有利に導くことができるのです。
(3)3つめは設備投資を自己資金で行う場合は個人・法人ともに課税済みの金額にて投資をいたしますので、法人の低い税率を適用できるため投資できる金額が増えると思われます。
(4)4つめは事業承継問題です。平成19年月以前の医療法人の場合は、業績向上や長年の蓄積による留保利益が出資持分に反映し、相続税の負担の増加となりましたが、現行の医療法人の場合は後継者の問題がなければ出資した金額を額面評価できますので、留保利益の増額が相続税の負担増になることはありません。
(5)厚生年金保険料等についてのシミュレーション
※厚生年金保険料・健康保険料の負担について具体的にシミュレーションしてみました。
●社会保険料
(厚生年金保険料)
理事長 45,390×12ヶ月×2(会社負担分)=1,089,360
*理事長は会社負担分と個人負担分の合計
理事(専従者) 45,390×12ヶ月×2(会社負担分)=1,089,360
*理事は会社負担分と個人負担分の合計
従業員 19,034×4人×14ヶ月=1,065,904
*常勤の従業員を4名・1人月25万円で、ボーナス2ヶ月分にて計算しました。
厚生年金保険料率は146.42/1000で計算。
(負担合計)3,244,624(円)
●健康保険料
理事長 57,051×12ヶ月 ×2(会社負担分)=1,369,224
*理事長は会社負担分と個人負担分の合計
理事 37,248×12ヶ月 ×2(会社負担分)=893,952
*理事は会社負担分と個人負担分の合計
従業員 10,660×4人×14ヶ月=596,960
*1人月25万円で、ボーナス2ヶ月
健康保険料率は82/1000です。
(負担合計) (2,860,136円)
●歯科医師国保の場合
理事長 (5,000+12,500)×12+80,000,000×6/1,000=690,000
限度は 530,000円
理事 理事長の扶養
従業員 各自7,500円自己負担
(負担合計) (530,000円)
* 各都道府県により相違することがあります
●現状の理事長の社会保険料
理事長 国民健康保険 530,000円(都道府県によって相違することがあります)
国民年金 13,860×12=166,320円
理事 国民年金 13,860×12=166,320円
(負担合計) (862,640円)
●結果
1.厚生年金と健康保険を選択した場合の負担増
3,244,624+2,860,136△862,640=5,242,120円
2.厚生年金と歯科医師国保を選択した場合(個人診療時から継続して歯科・医師国保に加入している必要あり)
3,244,624+530,000△862,640=2,911,984