収益性を分析するには、資本利益率とこれを分解した売上利益率、資本回転率について見ていくことが重要です。その中で効率的に利益を上げているのかを分析するのは資本利益率を見ていきます。
資本利益率とはその企業が利益を得るためにどの程度の資本を使用しているかを意味するもので具体的には資産を示します。売上高利益率と資本回転率をかけたものになり、算式を下記に示しますと・・・
資本利益率=資本回転率×売上高利益率となります。資本利益率を高めるためには、
という考え方ができてきます。
資本利益率の代表的なものは3つあり以下に示していきます。
次に売上高利益率を見ていきます。
総資本対経常利益率が低ければその原因把握のためにまず売上高対経常利益率を見ていきます。一般的にこれが低い場合は売上原価・販売費及び一般管理費・営業外損益(借入金利息や受取利息等)が大きいことを示します。前年比較や同業他社との利益率を比較検討していきましょう。
次に資本回転率を見ていきます。
総資本対経常利益率が低い原因のもうひとつに資本回転率があります。まず総資本回転率で総合的に分析しさらに貸借対照表の各資産の回転率を分析していきます。
これらのものを分析し収益性にどのように影響をあたえているかを分析し、自社の強みと弱みを確認しましょう。
貸借対照表の構造について分析するものです。次の3点について分析されます。
流動比率
100%未満になると流動資産を持って流動夫妻をもって返済することに支障をきたす危険性がまし、将来の資金繰りを悪化させます。120%から150%程度は必要とされています。
流動資産/流動負債×100(%)
当座比率
当座の支払能力を分析するための指標です。当座比率は100%を超えることが望ましいとされており、流動比率と当座比率に乖離があれば在庫が過剰になっていると考えられます。
当座資産/流動負債×100(%)
自己資本比率
総資本に対する自己資本に割合を示す指標でこれが高いほど企業の財務基盤が安定しているといえます。20%から30%はほしいところです。
自己資本/総資本×100
負債比率
負債(他人資本)と自己資本の割合を示す指標です。低いほどよい指標となります 。
他人資本(負債)/自己資本×100
固定比率
固定資産を自己資本でどのように賄っているかという指標です。低いほどよい指標となり、理想では100%以下とされています。実際の企業は固定資産を購入するときには借入を起こすことが多く130%から170%というところです。
固定資産/自己資本×100
付加価値を数値的にとらえるとともにその産出効率を測る指標です。人的資源と投入することによる労働生産性・資本投入することによる資本生産性を考えます。
付加価値とは企業が経営活動において創造した価値です。控除法と加算法の計算方式があります。
控除法
売上高から材料費・部品代・外注加工費・補助材料費を控除して計算されます。
加算法
経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費で計算されます。
生産性分析の中心は付加価値生産性の分析です。資源投入の観点から労働生産性と資本生産性が中心となります。
付加価値労働生産性
労働投入に対してどれだけ付加価値をあげているかを意味します。労働者1人当たりの付加価値額という指標で分析されます。従業者数は正規の従業員の所定労働時間に換算して計算します。
また労働生産性を高める方策として次の事項を確認してあげます。
資本生産性
労働生産性は労働者が多い企業では有効な指標となりますが、従業員が少ない企業ではあまり意味を持たない指標となります。よって設備が多い企業で従業員が少ないところでは、資本投入に対してどのような付加価値を得ているかを分析することになります。次の3つの指標を使うことが多いです。
労働分配率
付加価値の配分でもっとも大きい金額となるのが人件費です。人件費を付加価値額で割って計算され、高くなると人件費負担が大きくなります。適正度を分析しましょう。
人件費/付加価値額×100(%)