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●修繕費の取り扱い ~修繕費で最大限に節税を~

(修繕費となる場合)
固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分の金額は、修繕費として支出した時に損金算入が認められます。具体的には次のような支出です。

①老朽化した設備の復旧費用
②部品の交換などの維持管理費
③一つの修理や改良などの金額が20万円未満の場合
④おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良
⑤退出時の原状回復費用

(修繕費とならず資本的支出となる場合)
その修理、改良等が固定資産の使用可能期間を延長させ、又は価値を増加させるものである場合は、その延長及び増加させる部分に対応する金額は、修繕費とはならず資本的支出となります。
例えば、次のような支出は原則として修繕費にはならず資本的支出となります。

①建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
②用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要した金額
(店舗から居宅への変更・1LDKから3LDKへの変更)
③特に品質や性能の高いものに取替えた場合で、その取替えの金額のうち、通常の取替えの金額を超える部分の金額(この判断は実務的には難しいです。)

(例外形式基準)
次に、一つの修理、改良などの金額のうちに、修繕費であるか資本的支出であるかが明らかでない金額がある場合には、次の基準によりその区分を行うことができます。

①その支出した金額が60万円未満のとき、又はその支出した金額がその固定資産の前事業年度終了の時における取得価額のおおむね10%相当額以下であるときは修繕費とすることができます。
②法人が継続してその支出した金額の30%相当額とその固定資産の前事業年度終了の時における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出としているときはその処理が認められます。

※設備投資で、一括で経費に落ちるものとして下記のものがあります。

■中小企業者の少額減価償却資産の特例
中小企業者に該当する個人で、青色申告書を提出するものが、平成18年4月1日から平成26年3月31日の間に取得価額が30万円未満「少額減価償却資産」(限度として合計額300万円まで)の取得等をし、事業用に供した場合には、その取得価額の全額を経費することができます。

■少額減価償却資産の取得等とされない資本的支出
租税特別措置法67の5-3「法人が行った資本的支出については、取得価額を区分する特例である令第55条第1項《資本的支出の取得価額の特例》の規定の適用を受けて新たに取得したものとされるものであっても、法人の既に有する減価償却資産につき改良、改造等のために行った支出であることから、原則として、措置法第67条の5第1項《中小企業等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》に規定する「取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産」に当たらないのであるが、当該資本的支出の内容が、例えば、規模の拡張である場合や単独資産としての機能の付加である場合など、実質的に新たな資産を取得したと認められる場合には、当該資本的支出について、同項の規定を適用することができるものとする」(例・エアコン・給湯器・カーテン・絨毯などの什器備品の交換等は特例が使えます。一方、便器や階段の増設等、付属設備・建物の改良には特例は使えません。)

※具体例にて説明します。

1.取り壊し費用
これまで賃貸していたアパート、マンションを取壊して新たに賃貸用のアパート・マンションを建設するような場合、古いアパート・マンションの取壊し費用や、入居者への立退料等は、支出した年の必要経費となります
ただし、自宅を取壊してアパート等を建設する場合の取壊し費用は経費に入りません。

2.階段の修理
一部を除いて、ほとんどの場合で全額経費に入ると思われます。
①老朽化した部分のみの工事(サビ取り、塗装など)全額経費
②避難階段の追加等20万円以上であれば全額、資本的支出
一方、階段を架け替えたり、別の場所に新たに階段を取り付ける場合は、資産の改良費となり、その支出額が20万円以上であれば、必要経費にはならず、資本的支出となります。この場合その支出額は建物の取得価額に加算され、建物の法定耐用年数により減価償却されます。
③不明な場合
形式基準により判定する場合には、階段の修理費用が60万円未満又は建物の前年末簿価の10%以下であれば、修繕費として必要経費に算入しても差し支えありません。

3.トイレの改修工事
①全面改装(和式から洋式への変更)
原則、資本的支出(例外3年周期・各工事にかかる金額が20万円未満)
②老朽化した設備のみの改装
原則、金額に関係なく全額修繕費(例外用途変更等の場合)

【用途変更を含む全面改装をした場合、原則、全額資本的支出となる】
全面改装の場合は明らかに資本的支出と考えられる。そのため、全体の工事が20万円未満か周期が3年以内以外のものについては、改修に係る費用の全額が資本的支出となる。
壁面や床等の改装費用が20万円以上である場合は建物(区分や耐用年数、償却方法は既存のビルと同一)、同じく20万円以上であれば、それ以外の便器、洗面台、鏡台等の改装費用は建物附属設備(衛生設備)で耐用年数は15年となる。

【老朽化した設備等のみの交換の場合は、原則、全額修繕費となる。】
(1)老朽化した便器の交換
従来と同一の素材のものと交換してもその交換費用は「部分品の通常の取替え費用」(法人税基本通達7-8-1(3))と考えられ、金額に関係なく交換費用の全額を修繕費とすることができます。ただし、従来と比べて良質な素材が使用されている場合や従来和式であったものを洋式にした場合などは、一台あたりの交換費用が20万円以上であれば全額が資本的支出(建物附属設備・衛生設備・15年)となり、20万円未満であれば「少額費用」(法人税基本通達7-8-3(1))として全額が修繕費となります。

(2)老朽化した壁面・タイルの交換
傷んでいる部分について従来と同一の素材を使用したものと交換した場合には、原状回復費用として交換費用の全額を修繕費とします。新しい良質な素材を使用したものと交換した場合には、その交換費用が20万円未満である場合を除いて、資本的支出(建物・既存のビルと同一)となります。

(3)老朽化した洗面台、鏡台等の交換
従来と同一の素材のものと交換してもその交換費用は「部分品の通常の取替え費用」(法人税基本通達7-8-1(3))と考えられ、金額に関係なく交換費用の全額を修繕費とすることができます。新素材・良質素材による場合の取扱いは便器の場合と同じとなります。

4.クロスの張替え等
原状回復費用として全額経費となります。
入居者が退室した後はお部屋のクリーニングや修繕をします。これらの支出が通常の範囲内であれば修繕費や消耗品費として必要経費となります。畳の貼り替えやクロスの貼り替えは通常の維持管理のために不可欠ですので、必要経費に入れても差し支えありません。

5.大規模修繕である外壁改修工事・塗装工事・防水工事
原則、修繕費となります。理由とすると、その工事をしなければ耐用年数の維持が難しいと考えられるからです。
①外壁の改修工事については、毀損部分の修理(例えばクラック等の発生に伴う防水補修)や、外壁の塗装は修繕費とすることが認められています。
②屋上防水工事についても、その前提として経年劣化による亀裂等の毀損が発生しているからこそ行われるものであり、原状復旧として修繕費とすることが認められると考えます。
③外壁の張替等についても外壁の塗替えと同様、現状維持のための支出として修繕費とすることが認められています。

6.一定年数を経過して使用に堪えなくなり、改修が必要となった給排水設備、電気備、ガス設備、冷暖房設備、消防用設備等附帯設備の改造工事
大規模修繕に合わせて行う部分品の交換、移設等のみの場合は修繕費となりますが、一つの用をなす設備を全体として更新・取替えする場合及びその設備の主要構造部の更新・取替え等の場合は資本的支出に該当するものと考えます。

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