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●よくある事例とその解決策

Q1. 役員の月給を業績に応じて毎期変動させてもよいでしょうか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. パソコンソフトを開発するベンチャー企業
  2. 会社の業績は順調に伸ばしている
  3. 現在、同族役員が4人、それ以外の役員が2人いる
  4. 役員報酬を決めるのに苦労している
  5. 役員のモチベーションをあげたいと考えている

下記の対策を行います。

(対策) 

  1. 平取役員(使用人兼務役員)の方は、従業員部分の給与については歩合給を採用します。
    ・従業員部分とそれ以外の役員部分について区分けを行います。
    ・従業員部分についての歩合給は、他の従業員と同一の給与体系とします。
    ・一定の株式を保有している役員は、使用人兼務役員になれません。
  2. .平取以外の取締役については月給を業績に応じて決めた場合の増減額は役員賞与になります。
    :そのため前年度の業績、今年度の業績予想、役員の貢献度を役員報酬を決めます。
    :株主総会・取締役議事録を作成し、それぞれの役員に報酬を決定します。
    :役員の職務の内容、会社の収益、使用人の給与の状況等を総合的に考えます。

(課税関係)

  1. 従業員は雇用契約だが役員は委任契約であり、役員賞与は経費になりません。
  2. 平取の役員の使用人部分の給与については、他の従業員と同様の扱いになります。
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Q2. グループ法人の社長を兼務している場合はどうやって役員賞与の妥当金額を算定するのでしょうか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 冷凍食品を取り扱う食品製造業
  2. 業績は順調で、今年会社を分割し、製造会社・販売会社等を4社新規設立した
  3. 本体、販売会社の4社については社長一族が100%所有
  4. 以前は月々300万の設定だったが、社長の役員報酬について悩みがある

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 役員報酬が過大かどうかは、この場合4社全体ではなく、各会社ごとに判定します。
    :各会社ごとに株主総会議事録を作成する
    :各会社ごとに取締役議事録を作成する
    :各会社ごとに役員の職務の内容、会社の収益、使用人の給与の状況等を総合的に考える

(課税関係)

  1. 会社の経営状態がペーパーカンパニーでないことに留意する必要があります。
  2. 過大な役員報酬や役員賞与は経費に入りません。     
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Q3. 役員報酬を倍額した場合の適否はどう判定しますか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 経営コンサルタント業を営む会社
  2. .業績は好調
  3. 粗利率が75%
  4. かなり利益体質であり、ほとんどの経費が人件費を占める
  5. 社長の報酬を増額、できれば1.5倍から2倍にはしたい
  6. 社長の現在の報酬は年額2500万

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 役員報酬をあげるのでなく、会社に利益を留保します。
  2. 業績の悪化時の資金繰りを助けるのは過去の蓄積ですので、自己資本の充実をはかり、利益体質を今のうちに作ります。特にソフト会社の場合、新規商品の開発費には莫大な費用がかかります。
  3. 報酬でなく、退職時の退職金の準備を今のうちから行います。

(課税関係)
役員報酬を倍額しても所得税は超過累進税率のため手取りは2倍にはなりません。

【例】所得控除180万
(住民税の計算も所得控除180万を使用、住民税及び所得税の概算)

  1. 年収2500万の場合
    ①.所得時税・住民税 約730万
    ②.差し引き手取額  2500-730=1770万
  2. 年収5000万
    ①.所得時税・住民税 約1920万
    ②.差し引き手取額  5000-1920=3080万 
  3. 増加率   3080万÷1770万=1.7倍
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Q4. 報酬と賞与を支給していた役員に、賞与の支給をやめる代わりにその分報酬を増額してもよいのでしょうか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 出版業および印刷業
  2. 業績はなんとか維持を保っている
  3. 発注が12月が多く、毎年12月には、役員賞与として社長に300万支給していた。
  4. 現在社長の月額報酬が100万円である
  5. 役員賞与が経費にならないのは、なんとなく疑問に感じる

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 役員の職務の内容、会社の収益、使用人の給与の状況等を総合的に考え、月額100万から月額125万の変更を考えます。
  2. 定時株主総会の時期に役員報酬の増額を決議します。
  3. 社長、専務等以外の肩書きのない役員については、使用人と同一時期に使用人分の賞与を与えることにより、経費に落とします。

(課税関係)

  1. あくまでも増額後の役員報酬が妥当かどうかで判断します。
  2. 役員賞与は経費に入りません。
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Q5. 同族法人の利益処分において、社長の息子だけに役員賞与の支給決定をすることは可能ですか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. リサイクル業を営む会社
  2. 社長(52歳)の個人資産は約6億円、自社株式12億円
  3. 息子(長男29歳)は過去1部上場会社に勤務しており、現在2年目である
  4. 社長が100%所有
  5. 社長の月額300万、息子80万である

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 息子を役員にし、定時株主総会にて役員報酬として月額30万増額し、合計110万の給与とします。
  2. 事業承継対策(納税資金対策)として息子だけに役員賞与を与えます。
  3. 賞与は経費になりませんが、会社の資金が使え、課税方法は給与所得になるため、給与所得控除が使え、贈与税の税率より低くなります。

(課税関係)

  1. 息子はまだ、2年目であり、役員になったとしても報酬をあまり上げられません。
  2. 配当は株主全員に支給する必要がありますが、役員賞与は役員全員に支給する必要がありません。
  3. 役員報酬は過大かどうか判断を伴うことがあることが多いですが、役員賞与は経費にならないため、極端に大きくならない限り問題になることは少ないです。
  4. 贈与等もからめた事業承継対策が望ましいと考えられます。
  5. 役員に息子を入れることにより、役員内のコミュニケーションなど、古巣の役員との同調を図る必要があります。
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Q6. 長期入院した場合は、役員報酬を減額するべきですか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. インテリア雑貨を営む会社
  2. 立地条件にも恵まれ、順調に業績に伸ばし、開業してから30年を迎えた
  3. 社長夫婦で事業をはじめ、現在、従業員は25人である。妻はデザイナーである
  4. 社長は月額400万、社長の妻は月額250万である
  5. 最近、妻が体調を壊し、入院3ヶ月を過ぎている
  6. 妻の役員報酬はどうすればよいか悩みである

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 入院が1年を超えない場合又は退院後復帰する場合は、常勤役員として職務につくようでしたら、そのまま支給することにします。
  2. 役員は委任契約であり、使用人は雇用契約です。
    入院が1年を超える場合又は、退院後復帰しても、非常勤役員として職務につくようでしたら、そのときは次回の定時株主総会の際に役員報酬の改定が必要になります。
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Q7. 不動産管理会社で乗用車は経費に算入できるのですか?また、どのくらいの価格の車両を購入してもいいのでしょうか?

A.下記の前提において

(前提) 

  1. マンションを5棟所有する不動産賃貸業を行う会社
  2. 従業員はなく、社長一人で切り盛りしている
  3. 仕事の能率と事業拡大を考え自動車を購入しようと考えているが、会社の資金で買っても良いか
  4. いくらくらいの車を購入してもよいか

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 売上の10%ぐらいを限度に購入金額を抑えます。
  2. なお、下記に留意いたします。
    ①車種、金額について、不動産業として適したものか
    ②マンションと会社の事務所との距離はどれくらいか
    ③個人の趣味が入ってないか
    ④燃料費など個人と法人で区分する必要があります。個人的な費用を会社で負担した場合は賞与になってしまいます。
  3. 通勤代わりに使用する場合は自動車を使用する場合には通勤手当を支給しないことにします。

(課税関係)

購入した車の購入金額を個人部分と法人部分に分けて経理はできません。従って役員賞与か会社資産のどちらかとなりますので、業務外の場合は自動車の購入金額の全額が役員賞与となります。

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Q8. 社長の海外出張に夫人が同伴した場合、夫人の旅費等も費用としてよいでしょうか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 海外と取引の多い商社を営む会社である
  2. 海外出張が多く、社長と当社の役員でも社員でもない妻が同伴することがたびたびある
  3. この場合妻の旅費は会社が負担してもよいのか

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 妻を役員にし、業務を与えます。
  2. 妻を役員に入れ、報酬を支払う場合は、株主総会議事録、取締役議事録を作成します。 

(課税関係)

  1. 原則、業務に必要としても、その親族又はその業務に従事していない者を同伴させた場合は、その同伴者の旅費は会社が負担した場合は役員賞与に該当します。
  2. 下記の場合は同伴者の旅費について、会社負担とすることができます。ただし、下記に該当することを証明するために会議の議事録等証拠が必要です。
    ①その役員が常時補佐を必要とする身体障害者であるため補佐人を同伴する場合
    ②国際会議への出席のために配偶者を同伴する必要がある場合
    ③通訳が必要な場合で会社に適任者がいない場合
  3. 観光をした場合は事業経費と分けます。
  4. 業務外費用となった場合は役員賞与となり経費になりません。
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Q9. 社長の出張宿泊費、日当はどこまでだせますか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 不動産業を営んでいる会社
  2. 事業展開を広げ関東地区から関西地区まで事業範囲が広がってきた
  3. 事業範囲の拡大に伴い、出張旅費規定を作ろうと思っている

下記の対策を行います。

(対策) 
出張旅費規程を作成する際は下記1から3に当てはまることが必要です。

  1. 会社の経費として認められるためには、旅行の目的、宿泊の要否等を総合的に判断し、その旅行に通常必要と認められる範囲内の金額である必要があります。
  2. 出張に係る費用として、
    ①航空運賃、鉄道運賃、バス、タクシー等の運賃
    ②ホテル等の宿泊費
    ③食事その他の雑費的な費用が挙げられます。
  3. 下記に掲げる旅費の支給を受ける者から見た場合、所得税の課税の可否が問題になります。
    (1)通勤する場所を離れてその職務を遂行するために行う旅行
    (2)転任に伴う転居のために行う旅行
    (3)就職や退職した人の転居又は死亡により退職した人の遺族が転居のために行う旅行

なお、この場合、この範囲内の金額であるかどうかは、下記が判定の基準になります。

A)その支給額が、その支給する役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれているかどうか
B)その支給額が、その支給をする法人と同業種、同規模の他の法人が一般的に支給している金額に照らして相当と認められているかどうか 

(課税関係)

過大な旅費支給は賞与になります。

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Q10. 社長が冠婚葬祭に出席するときの衣装代を会社が負担してもよいですか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 管工事業を営む会社
  2. 受注先や下請先の数が事業の拡大に伴い、社長が取引先の冠婚葬祭等に出席する機会が頻繁にある
  3. 冠婚葬祭に出席する際は、祝い金や見舞い金を会社負担で支払っている
  4. 冠婚葬祭に出席する際の衣装代がかなり多額になっているのが最近の悩みである

下記の対策を行います。

(対策)
1.衣装代を会社で負担することはできませんので、衣装代等も総合勘案し社長の役員報酬を改定します。

(課税関係)

  1. 福利厚生費になるものとして、会社がその役員や従業員の慶弔、禍福に際し、社内での一定の規定による祝い金、見舞金、香典等のために要する費用は、原則として、福利厚生費となります。
  2. 取引先等関連者の慶弔、禍福に際して支出する祝金、見舞金、香典等は、交際費となります。
  3. 交際費は、会社の事業に関連する必要があります。従って、金額の大小ではありません。
  4. 会社の事業に取引先の冠婚葬祭は関連します。よって祝い金等は当然交際費となりますが、社長個人の衣装代は個人の「衣食住」に関する支出です。したがって「衣食住」と「事業に関連する支出」は明確に分ける必要があります。
  5. 衣装代を会社が負担した場合は、役員賞与となります。
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Q11. 社長や社長の親族の結婚式に会社の取引関係者を招待した場合は、取引先にかかる費用は経費になりますか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 公共事業を中心とする建設業を営んでいる
  2. 事業の関係上、役員である息子の結婚式に会社の取引先を大勢招待しようと思っている
  3. 結婚式にかかる費用のうち、会社関係の取引先にかかる費用は会社で負担してもいいか悩んでいる

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 結婚式の費用はこのような事情があったとしても会社で負担することはできません。
  2. 結婚式の費用等総合的に判断して次回の定時株主総会の際に息子の役員報酬を改定します。

(課税関係)

  1. 福利厚生費になるものとして、会社がその役員や従業員の慶弔、禍福に際し、社内での一定の規定による祝い金、見舞金、香典等のために要する費用は、原則として、福利厚生費となります。
  2. 交際費になるものとして、取引先等関連者の慶弔、禍福に際して支出する祝金、見舞金、香典等は、交際費となります。
  3. 交際費は、会社の事業に関連する必要があります。従って、金額の大小ではありません。
  4. 会社の事業に取引先の冠婚葬祭は関連します。よって祝い金等は当然交際費となりますが、息子個人の結婚式代は個人の支出になります。たとえ、取引先が多数招待したとしても個人的な費用にはかわりはありません。
  5. 個人と法人で折半等の考えはあわないため、結婚式の費用を会社が負担した場合は、役員賞与となります。
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Q12. 会社が支払った祝儀等が世間相場に比べて多額な場合であってもかまわないでしょうか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 芸能プロダクションを営む会社である
  2. 業務上、芸能人との交際接待が多く、またこれらの関係者が行う冠婚葬祭に出席することが多い
  3. 冠婚葬祭に支出する金額も50万から200万とかなりの金額となる

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 一般的の常識にとらわれることなく、業界としての常識の範囲内なら金額の大きさでなく、交際費として認められます。もらう人の地位、年齢等と支払う会社側の業務、業界の特性を説明します。
  2. 祝い金等は領収書がないため、支払った金額が証明できません。そのため、祝い袋のコピーや、現金出納帳、招待状を保存する必要があります。
  3. 法人の業務遂行上必要な支出かどうかを考えます。

(課税関係)
社長の個人的な費用を支出された場合は役員賞与となります。

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Q13. 社長社宅費用は会社で負担してもらえますか?

A.下記の前提において

(前提) 

  1. スポーツジムを首都圏に5店舗営む法人である
  2. 社長は現在賃貸でマンションを借りている
  3. 手狭になったことことから引越しの際、社長に社宅を提供しようと思っている

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 会社が社宅として他から賃借します
  2. 会社で支出する資金は変えないで下記の方法で行います。
    (a)社長の額面給与を減らします。
    (b)社長は毎月家賃について給与課税を受けないように一定の金額を天引きして残額の支給を受けるようにします。

(課税関係)

  1. 社長は以前の会社から給与をもらい、所得税、住民税を差し引いた残金(可処分所得)から家賃を毎月払うかたちから、給与の額面を減らすことにより社長個人の所得税及び住民税の節税になります。
  2. 所有の場合は減価償却を通して経費になります。
  3. 借り上げは毎月の支払い家賃を通して経費になります。
  4. 給与課税にならないように一定の金額を徴収する必要があります。
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Q14. 前払い家賃は経費におちますか?

A.下記の前提において なお、留意点はありますか?

(前提)

  1. ビデオのレンタル業を首都圏に8店舗営む会社である
  2. 今期はヒット作品が多く、通常の回転率をはるかに上回り、利益が前年の1.8倍となった
  3. ビデオのレンタル業なので、キャッシュはかなりある
  4. なにか節税方法はないか?

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 店舗の家賃8店舗の月額合計315万円の1年分を決算期末に支払い3,780万円を経費に算入します。
  2. 大家と交渉し、継続性を保つために、契約書の変更をします。

(課税関係)

  1. 重要性の原則からそれほど決算に影響を及ぼさないかに留意する必要があります。
  2. 保険料は支払った日から役務の提供を受けますが、家賃は支払った日からではないため留意が必要であり、決算月の場合で翌年1年分の支払いの際は月末に支払うようにします。例えば3月決算の場合で、3月31日に翌月4月1日から1年分、つまり3月31日までですので、3月31日に支払うと支払った日から1年と1日ですが、この規定が重要性の原則からきたものですが、2~3日は是認範囲となります。
  3. 未払いでなく実際に支払う必要があります。
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Q15. 欠損のため社長への更新料の支払いを翌期とした場合、翌期の経費になりますか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 製品加工業を営む法人である
  2. 工場の敷地を社長が賃貸している
  3. 今期が更新の時期である
  4. 今期、赤字になる見通し
  5. 更新料を社長に支払うべきか悩んでいる

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 契約上の支払時期が経費の計上時期になります。更新料の支払時期を変えることはできません。更新料を支払うべきかどうかは、土地賃貸借契約書を見る必要があります。
  2. 更新料については全額経費処理できないことがあります。

(課税関係)

  1. 借地権取引の慣行がある地域においては、権利金を授受するのが、慣行です。しかし、一方で借地権契約を更新するときの更新料は、必ずしも慣行ではありません。そのため、税法上も、更新料を授受する取引の慣行があることが明らかでないため、その授受をしない場合でも認めることにしています。
  2. 法人が借地契約の更新に際して更新料を支払った場合には、更新料の金額を借地権の帳簿価額に加算します。下記の金額についてのみ経費に算入します。
    (算式)更新直前の借地権の帳簿価額×更新料の金額÷更新時の借地権の価額
  3. 更新料を貰った社長は確定申告する必要があります。
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Q16. 社長の借入金返済のために社長の個人財産を会社が買い取ってよいのですか?

A.下記の前提において

(前提)

  1. 家具製造販売業を行っている会社
  2. 家具製造販売業は順調に業績を伸ばしている
  3. 社長は家具製造販売業を営むかたわら、株式投資を行っており、バブルの崩壊からかなりの含み損を抱えている。そのため、社長個人の借り入れの返済は月々500万円強となっている
  4. 社長個人の返済を減らしたいというのが、最近の一番の悩みである

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 会社が社長の個人資産を買い取り社長の借入を削減します。
  2. 買い取る資産は会社の業務に必要な下記のものにします。
    (1)取引先接待用資産
    (2)福利厚生用資産
    (3)投資目的用資産
  3. 利益相反取引に該当しないように留意します。

(課税関係)

  1. 社長個人の借入を返済する必要があります。
  2. 社長は含み資産と含み損のある資産を同年に売却することにより節税できます。
  3. 借入の削減のために、社長の給与の増額を考えます(定時株主総会にて)。
  4. 自動車販売会社の財務体質が悪化しますので、会社のリスクヘッジ対策を考える必要があります。
  5. 譲渡価額は時価になります。時価の算定は慎重に決める必要があります。時価と相違する場合は役員賞与になる可能性があります。
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Q17. 個人の自宅を会社事務所とした場合の家賃の算定方法はどうすればよいか?

A.下記の前提において

(前提) 

  1. 宝石の訪問販売業を営む法人である
  2. 従業員は2人で、社長の自宅(マンション)の一室を使用している
  3. 設立してから3年だが、順調に売上が伸びている

下記の対策を行います。

(対策)

  1. 会社から社長へ家賃を支払います。

(課税関係)

  1. 自宅兼用の場合は事務所として専用化、区別化し、当然電話回線等も法人専用にします。
  2. .減価償却+固定資産税などの実費からの家賃の設定や、近隣相場を想定した家賃を設定します。
  3. 法人が貸主である個人の好意により家賃を支払わないというのであれば、課税上問題がありません。しかし、家賃が高額な場合は役員給与になります。
  4. 業績がよいときに家賃では調整できません。役員報酬の改定にて対応します。
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Q18.融資を受ける際の金融機関による企業の格付け(財務格付)について教えてください

A.融資を決めるのは企業の格付け~金融機関の財務格付について~
金融機関から借り入れを行う際に、「確定申告書のコピーを用意してください」と言われることがあると思います。もちろん貴社の財務状況を把握するためではありますが、金融機関は具体的に申告書のどこをどのように見ているのか気になったことはありませんか?
タイトルの「財務格付」とは、融資先の会社を採点することです。これはいわば会社の通信簿のようなもので、通信簿の悪い会社には融資をしなかったり、保証人をつけてもらったり、逆に通信簿がよい会社には、金利を低く設定したり、返済期間を長くしたりします。
財務格付はこのように貴社の財務状況を特定の項目ごとに採点することによって、安全性・危険度が一目で分かるように数値化したものです。この格付けの仕組みを理解できると金融機関が貴社をどのように評価されているかが明確にわかります。
この格付けにより金融機関は融資の可否を決定しているのが現状の融資の世界なのです。

それでは、どのように金融機関は採点していくのでしょうか?
採点項目にはおおよそ4つの項目があると思われます
1つ目は安全性、2つ目は収益性、3つ目は成長性、4つ目は返済能力に関する分析です

1.安全性に関する分析

まずは、安全性の項目を説明してみましょう。安全性分析は、企業の支払能力に関する分析です。企業がどれくらいの支払いに絶えられるか、または余裕があるかを示す指標です。
指標として自己資本比率、ギアリング比率、固定長期適合比率、流動比率がございます。

1.自己資本比率(自己資本/総資産)
自己資本比率とは、会社の総資本(自己資本+他人資本)に占める自己資本の割合をいいます。
自己資本比率が高いほど他人資本(負債)が少なくなり、資金の調達が返済の期限のない資金で行われているため、健全な経営であるといわれます。一方で自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、会社の独立性に不安が生じます。
自己資本比率の分母は、総資本です。負債側から見ると、借入が増えれば総資本は増え、水ぶくれします。分子の自己資本を増やすためには、増資という手段以外には、利益をたくさん出して内部留保を増やしていくこと以外にありません。
この比率を改善するには短期的でなく中長期の対策が必要です。言い換えますと開業してから現在までの蓄積の結果が現れる指標となっています。
自己資本比率は、25%以上を目指したいところです。
25%以上だと金融機関の査定は10点満点で5点ぐらいです。

2.ギアリング比率(負債/自己資本)
ギアリング比率とは、自己資本に対する負債の割合をいいます。
自己資本に対し、何倍の他人資本(負債)を使用しているかを示す比率で、レバレッジ比率ともいわれます。また、自己資本に他人資本を加えて運用することで、自己資本のリターンを高める効果をレバレッジ効果と呼びます。
この比率が高い場合レバレッジ効果を使って、ある意味自己資本を効率よく運用しているとも言えますが、レバレッジが高いということは自己資金に比して大きな金額を扱っているということになりますので先物取引のようにリスクと隣り合わせと言えます。
きちんと、金利以上の収益性があれば自己資本の何倍もの利益が得られる反面、金利以下の収益性、場合によっては赤字の補填である場合、新たな借入れをしなければ金利を支払えないという自転車操業となってしまいます。
きちんと金利というものを認識して、それ以上の利益をあげて初めて経営といえます。
ギアリング比率は、150%以内に抑えたいところです。
150%以内だと金融機関の査定は10点満点で6点ぐらいです。

3.固定長期適合率(固定資産/固定負債+自己資本)
固定長期適合率とは、自己資本と固定負債(主に長期借入金)の合計に対する固定資産の割合をいいます。固定資産に対する投資は現金や預金といったものと異なり、その回収に時間がかかります。それゆえ返済の必要のない自己資本と、長期に亘って返済が認められる長期借入金などの固定負債の金額の枠内でまかなうべきとされています。
ちなみに、自己資本に対する固定資産の割合を固定比率といいますが、日本の場合、間接金融(金融機関等からの借入)への依存度が高いため100%を超える、すなわち自己資本の金額よりも大きい金額を固定資産に投資している状態になることが多くなりがちです。
したがって、より日本の実情に即した財務分析として、固定長期適合率が使われることが適当であると考えられています。
固定長期適合率が100%を超えていると、短期に返済しなければならない資金で固定資産への投資を行っていることになるので経営規模に対して過剰な投資となっており、バランスが崩れている状態といえます。長めの資金に切り替えるなど対策をとりましょう。
固定長期適合率は、60%以内に抑えたいところです。
60%以内だと金融機関の査定は10点満点で7点ぐらいです。

4.流動比率(流動資産/流動負債)
流動比率とは、流動負債に対する流動資産の割合をいいます。
流動比率が100%割っている状態は、短期的に返済しなければならない負債(流動負債)よりも短期的に支払に充てられる資産(流動資産)が少ないという状況を表します。
すなわち流動比率が100%割っている状態というのは、新たな借入れをしなければ1年以内に支払不能となる可能性が高いということを意味しています。たとえば、400万の売掛金と100万の現金、支払手形が600万の会社の流動比率は(400万+100万)/600万で83%です。この会社がはたしてこのままで手形を決済できるでしょうか?資金繰りがよくないのは明らかでないでしょうか。
また、この比率が悪い場合には、流動負債で固定資産を補っているケースが多いので、長めの資金に切り替える対策をとりましょう。つまり返済期間を長期のものに変えたり、6ヶ月の手形貸し付けを3年の証書貸付に借換えたりするなどの対策が必要です。
ただ、流動比率だけに注目していると企業の舵取りに失敗することがございます。たとえば短期を長期の借入に切り替えていくと月々の返済金額が減り、資金繰りが楽になるため、ずさんな経営になり易くなることがあるので注意が必要です。たとえば返済期間が1年の借入を5年に変更すれば月々の返済金額はかなり減額され、資金繰りはかなり改善され、流動比率も格段に改善されます。この改善が企業の成長である売上の成長等を伴うものでないこと気づかず、更なる融資金額の増加をしていくといったこともありえます。
上記と同様に流動比率だけに注目すると失敗する例をあげると、長期資金ではなく短期資金の借り増しというケースでも見られます。先の例の400万円の売掛金と100万の現金、支払手形が600万の会社が200万の手形融資を受けた場合ですが分子は400万(売掛金)+現金300万(100万に融資後の200万を加えます)の合計700万を600万(支払手形)と200万(手形融資)の合計800万で割ると流動比率は87.5%となり先ほどの83%より改善したように思われますが、果たして改善されたといえるでしょうか?

こういった2つの例では、さきほど説明した自己資本比率やギアリング比率にも注目し、2つの指標が悪化していないかどうか確認します。
流動比率は、140%以上を目指したいところです。
140%以上だと金融機関の査定は10点満点で7点ぐらいです。

2.収益性に関する分析

次に収益性項目にいきます。
これは、主に企業の売上、利益を中心に収益力を分析するものです。

1.売上高経常利益率(経常利益/売上)
売上高経常利益率とは、売上に対してどれだけ経常利益をあげているかを表す指標です。
経常利益は企業の営業活動だけでなく、財務活動(利息の支払など)も含めた利益をいいます。
営業外活動や財務活動で、営業利益より経常利益が大幅に増えている企業も考えものですが、借入金依存型の企業は、支払利息などで利益を圧迫されるケースが多くなります。
売上高経常利益率を上げるためには、要は利益率をよくすることです。売上の伸び以上に利益を伸ばす。売上が伸びても、それ以上に経費が増えていたら。売上高経常利益率は悪くなります。
売上高経常利益率は、業種にもよりますが一般的に2%以上を目指したいところです。
2%以上だと金融機関の査定は10点満点で6点ぐらいです。

2.総資本経常利益率(経常利益/総資本)
総資本経常利益率とは、総資本に対する経常利益の割合を示す指標です。
企業が投下した資本(使っている金額全体)に対して、どれだけの利益を生み出したかを測定するもので、ROAとも呼ばれています。マーケットで企業の収益性を判定するのによく使われる指標でもあります。
業種や会社の規模によって差が出やすい指標ですが、最低限、銀行の定期預金より高くなければ、何もしないで銀行に預けていたほうがマシといえます。

総資本経常利益率は、総資本回転率(売上高/総資本)と、売上高経常利益率(経常利益/売上高)の2つに分けられます。
総資本回転率とは、総資産を投入することによってどのくらい売上をあげることができたかを見る指標で、1年間の売上高で、資本が何回回収できたかが分かります。資本の回転率が高くなればなるほど少ない資本で大きな売上を上げることが出来るということを意味します。
例えば、総資本回転率が2回ならば、約183日で資本が回収できることを意味します。

一般には、回転率と利益率は、反比例の関係があります、回転率の高い業種、商品は利益率が低く、利益率の高いものは回転率が低くなる傾向があります。
総資本を売上高の増加より抑えつつ、利益を上げれば、総資本経常利益率は上がるわけですから、まずは、総資産をスリム化することを意識してみましょう。
総資本経常利益率は、一般的に1%以上を目指したいところです。
1%以上だと金融機関の査定は10点満点で6点ぐらいです。

3.収益フロー
黒字経営が続けば、それを評価する項目も存在します。
2期連続黒字を目指したいところです。
2期連続黒字ですと金融機関の査定は10点満点で6点ぐらいです。

3.成長性に関する分析

3つめは、成長性項目です。

1.経常利益増加率
前期と今期の経常利益を比較して、成長性のうち規模の拡大を測定するための指標です。
利益にはいろいろな段階がありますが、間接金融の比率が多い日本では負債の比率が高くなりがちなため、利息の支払などの財務活動も合わせた経常利益が最も代表的な利益とされています。
経常利益増加率は、15%以上あるとベストです。
ただし、利益を増やし続けなければならない項目ですので、年度によってブレやすい指標でもあります。
15%以上だと金融機関の査定は10点満点で6点ぐらいです。

2.自己資本額
企業の規模が大きい方が有利な項目ですので、債務超過でなければ、あとは地道に規模を大きくしていく項目です。融資の金額も自己資本の金額の大きさに影響されるのはいうまでもございません。目標とするべき金額はまずは1億円以上です
1億以上だと金融機関の査定は10点満点で2点ぐらいです

3.売上高
自己資本額ほどではありませんが、これも企業の規模が大きい方が有利な項目です。地道に規模を大きくしていく項目です。融資の金額も売上の金額の大きさに影響されるのはいうまでもございません。
目標とするべき金額はまずは1億円以上です。
1億以上だと金融機関の査定は10点満点で2点ぐらいです。

4.返済能力に関する分析

最後に返済能力に関する分析です。

1.債務償還年数(有利子負債/キャッシュ・フロー)
債務償還年数とは、有利子負債(割引手形除く)を、キャッシュ・フローで割り、返済するまで何年かかるかを測る指標です。
キャッシュ・フローは、ここでは減価償却費と営業利益の合計となります。これが返済原資ですので、あまり長い年数となり過ぎると返済能力に不安があることとなります。たとえば営業利益500万、減価償却400万の会社に1億円の融資を返済期間8年で実行したらどうなるでしょうか?この会社の債務償還年数は1億÷(500万+400万)=11年となります。この会社に返済期間8年で融資を実行したら資金繰りはかなり困難になると思われます。逆に言えば(500万+400万)×8年(返済期間)=7200万円が融資の限度となると言え、融資額を増やすためには返済期間を8年より長く設定する必要があると言えます。
債務償還年数は、7年以内あたりを目標としましょう。
7年以内だと金融機関の査定は10点満点で5点ぐらいです。

2.インタレスト・カバレッジ・レシオ
インタレスト・カバレッジ・レシオとは、営業利益と受取利息の合計が、支払利息・割引料の何倍あるかと示すもので、企業の利息支払能力を測る指標です。
この数値が小さいと、利益から利息も満足に支払えない状況と言えます。
インタレスト・カバレッジ・レシオは、2.5倍くらいは目指したいところです。
2.5以上だと金融機関の査定は10点満点で3点ぐらいです。

3.キャッシュ・フロー額
ここで使うキャッシュ・フローも、ここでは減価償却費と営業利益の合計となります。
ただし、企業の規模が大きい方が有利な項目ですので、マイナスは論外としても、地道に規模を大きくして、たくさん利益を出せるようにしていく項目です。
目標とするべき金額はまずは1億円以上です
1億以上だと金融機関の査定は10点満点で2点ぐらいです。

(まとめ)
このように上記にそれぞれ挙げた項目をスコアリングし、集計し、格付けしていきます。
格付け6ぐらいまでは融資可能と思われます。
目標とするところは格付け4以上でしょう。

格付

ポイント

スコア

内容

1

リスク無し

90以上

安全性は最高基準に達しており、財務内容ともきわめて優れていると判断される企業。融資先としてのリスクは最小限で、債務償還は非常に安定的な収益からもたらされ、返済の可能性が最も高い。個別要因の変化はあっても、今後数年間は極めて安定的に業況推移すると思われる。

2

ほとんどリスク無し

80以上

かなり優れていると判断される企業。格付1とともに上位格付の企業であり、現在のところ返済の確実性は極めて高く、業況にも懸念がない。ただし、格付1と比較すると安全性はやや劣り、長期的には与信リスクに影響を及ぼす要因が発生する可能性もある。

3

リスク些少

65以上

貸出先としてはかなり魅力的。かつ安定した内容を有する企業である。返済の可能性はかなり高く、元利払いが滞る可能性は低いが、長期的な視野に立って見ると安全性を低下せしめる要因が顕在化する可能性を秘めている。

4

リスクあるが良好水準

50以上

現時点での融資元利払いの確実性は高いが、やや心配な特定の要因を内包しており、将来的に返済の確実性が低下するか、信用状況に懸念が生じる可能性が在る。償還能力が安定すると判断する要素が不足しており、実際上のリスクがあると判断される。

5

リスクあるが平均的水準

40以上

当面の返済能力には不安がないが、格付4以上に環境の変化などにより将来において安全性が低下するおそれがある。

6

リスクやや高いが許容範囲

25以上

当面の返済能力はそれほど不安ではないが、長期的に安全性を維持できるという可能性は低い。

7

リスク高く徹底管理

25未満

すぐ債務不履行に陥るというわけではないが、現時点においてすでに返済の確実性が低く、安全性に欠ける。将来的に見ても安全性には懸念がある。

8

警戒先

警戒先

すでに債務不履行にあるか、あるいは重大な危険性が認められる。企業内容はかなり悪化しており、経営が行き詰る可能性が高い。

9

延滞先

延滞先

債務不履行中でかつ解消のめどが立たない。貸出金の回収に重大な懸念を生じており、損失の発生が見込まれる状態にある。経営は継続しているが回収の難しい先。

10

事故先

事故先

不良債権化し、貸出金回収の見込みもなく、償却を要する。

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